2013年11月8日金曜日

第517回 新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 演奏会評

2013年11月8日 金曜日
すみだトリフォニーホール (東京)

曲目:
グスタフ=マーラー 交響曲第7番「夜の歌」

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団(NJP)
指揮:ダニエル=ハーディング

新日本フィルハーモニー交響楽団は、ダニエル=ハーディングを指揮者に迎えて、2013年11月8日・9日に、第517回定期演奏会を開催した。この評は、第一日目の公演に対してのものである。

管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→ヴァイオリン-チェロ→ヴィオラ→第二ヴァイオリンの左右対向配置で、コントラバスはチェロの後方につく、ダニエル=ハーディングのいつもの配置である。木管パートは後方中央、ホルンは意外にも後方上手側、その他の金管は後方中央の位置につく。マンドリン・ハープは後方下手側である。

着席位置は一階正面中央下手側、客の入りは8割くらいである。観客の鑑賞態度は第一部前半では拍手のタイミングが若干早かったものの、かなり良好であった。第二部では極めて良好であった。

なお、ほぼ同じ時刻かつ同じ曲目で、エリアフ=インバル指揮東京都交響楽団演奏会も実施されており、この意味でも注目されていた。

管楽器は失敗を恐れず、とにもかくにも響かせる。成功するかしないかは度外視して、ダニエル=ハーディングの意図を実現しようと努力が感じられる。弦楽器はいつものNJPらしく細い響きである。

第一楽章の最後の場面や、第五楽章は、全ての楽器の精度が確保され、ハーディングのしなやかな表現が見事に実現されている。弦楽器が重要な位置を占めながら、その弦の響きが細い中での、第三楽章の組み立てが良く出来ている。ハーディングの構築力が活きている。第509回定期演奏会に於ける、マーラー第六交響曲の時とは違って、ホルンの響きがきれいであり、また要所でヴィオラ・チェロがよく響かせている。

総じて、わざとらしくはない演奏で端正さを保つ意図が感じられ、NJPはその技量の中で実現に向けて努力し、特に第五楽章でその努力が実り、説得力のある演奏となった。