2017年9月23日土曜日

Konzerthaus Kammerorchester Berlin, Matsumoto perfomance (23rd September 2017), review ベルリン-コンツェルトハウス-室内オーケストラ 松本演奏会 評

2017年9月23日 土曜日
Saturday 23nd September 2017
松本市音楽文化ホール (長野県松本市)
The Harmony Hall (Matsumoto Municipal Concert Hall) (Matsumoto, Japan)

曲目:

Arcangelo Corelli: Concerto grosso in re maggiore op.6-4 (合奏協奏曲ニ長調)
Antonio Vivaldi: ‘L'estro armonico’ Concerto nº 12 op.3-12 RV265
Antonio Vivaldi: ‘L'estro armonico’ Concerto nº 6 op.3-6 RV356
Arcangelo Corelli: Concerto grosso fatto per la notte di Natale op.6-8(クリスマス協奏曲)
(休憩)
Jean Sibelius: Sarja viululle ja jousiorkesterille op.117 JS185 (ヴァイオリンと弦楽のための組曲)
Jean Sibelius: ‘Andante Festivo’ JS34
Edvard Hagerup Grieg:’ Fra Holbergs Tid’ op.40 (「ホルベアの時代から」)

violino: 日下紗矢子 / KUSAKA Sayako
orchestra: Konzerthaus Kammerorchester Berlin (ベルリン-コンツェルトハウス-室内オーケストラ)

ベルリン-コンツェルトハウス-室内オーケストラは、その母体であるベルリン-コンツェルトハウス管弦楽団のコンサートミストレスである日下紗矢子をリーダーとして2009年に結成された室内管弦楽団である。
2017年9月16日から23日までにかけて、フィリアホール(横浜市)・中新田バッハホール(宮城県加美郡加美町)・兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市、なぜか大ホールでの公演だった)岡崎市シビックセンター(愛知県岡崎市)・石橋文化ホール(福岡県久留米市)・松本市音楽文化ホールで、日本ツアーを開催した。今回は、管楽奏者はツアーに参加せず、弦楽とチェンバロ奏者のみによる来日公演である。

この評は、2017年9月23日、第六公演(千秋楽)松本市音楽文化ホールでの公演に対するものである。

弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴィオラ→コントラバス→ヴァイオリン-チェロの配置で、第一ヴァイオリン4(日下紗矢子を含む)・第二ヴァイオリン3・ヴィオラ2・ヴァイオリン-チェロ2・コントラバス1の数である。前半にはチェンバロもあり、弦楽奏者に半円状に囲まれた中で、客席に背を向けての演奏であった。

着席位置は一階正面後方やや上手側、客の入りは残念ながら四割を切っていた。観客の鑑賞態度は素晴らしかったが、拍手のタイミングが早かった(誰か一人でもそういう奴がいると、そうなる)。もう3秒遅くしてもいいところだ。

演奏について述べる。

第一曲目のコレッリから「流す」要素がなく全力を尽くす演奏で好感が持てる。コレッリ・ヴィヴァルディはノンヴィブラートの演奏で、透明感のある響きを実現させる。テンポは要所で変化させ、全般的には早めで、ピリオド奏法の様式を取り入れているようにも思える。チェンバロの響きが伝わるように、弦楽奏者の音量もよく考えられている。

休憩後は一転して、イタリアから一気に北欧に飛び、シベリウスとグリーグのプログラムである。

滅多に演奏されることがないシベリウスの「ヴァイオリンと弦楽のための組曲」「アンダンテ-フェスティーヴォ」は、全般的に極めて高い水準であるこの演奏会の中でも、最も私の好みに合うものである。「組曲」は夏の高原にいるような雰囲気が感じられ、一方で「アンダンテ-フェスティーヴォ」は少し厳粛な雰囲気を持つ祝典にいるような感がする。

最後のグリーグ「ホルベアの時代より」は、今年のサイトウ-キネン-フェスティバルでも取り上げられており、同じ月の中でこの松本市内で二度演奏されるという異常事態となる。サイトウ-キネンは8-6-5-4-2の編成で長野県松本文化会館のデッドな会場に対応するべく、味付けを分厚く濃厚にして一本調子で乗り切ったような印象があるが、ベルリン-コンツェルトハウス-室内オーケストラでは、4-3-2-2-1と半分以下の規模だ。高い弦を弱めに引いて低弦を際立たせたりと、響きの良いホールでは表現に多様性が生じた点が印象的だ。

アンコールは、モーツァルトのディヴェルティメントK.136から第三楽章、チャイコフスキーの弦楽セレナーデOP.48 第二楽章であった。

(この演奏者での奏者は以下の通り)
violino: 日下紗矢子 / KUSAKA Sayako, Petr Matěják, Luisa Rönnebeck, Elias Schödel, Johannes Jahnel, Karoline Bestehorn, Christoph Kulicke
viola: Katja Plagens, Pei-Yi Wu
violoncello: Andreas Timm, David Drost
contrabbasso: Igor Prokopets
clavicembalo: Christine Kessler