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2014年1月19日日曜日

ラデク-バボラーク ホルン-リサイタル 評

2014年1月19日 日曜日
挙母市コンサートホール (愛知県挙母市)

曲目:
ルートヴィヒ=ファン=ベートーフェン ホルン-ソナタ op.17
ロベルト=シューマン アラベスク op.18 (※)
シャルル=ケクラン ホルン-ソナタ op.70
(休憩)
ロベルト=シューマン 「3つのロマンス」 op.94
フランシス=プーランク 即興曲第15番 「エディット=ピアフを讃えて」 (※)
ヤン=ズデニュク=バルトシュ 「エレジーとロンディーノ」
レフ=コーガン 〈CHABAD〉によるハシディック組曲

(※印は菊池洋子のソロ)

ホルン:ラデク=バボラーク
ピアノ:菊池洋子

着席位置は、一階ど真ん中より少し後方かつ上手側である。客の入りは七割くらいであろうか。聴衆の鑑賞態度は概ね良好であった。

ラデク=バボラークは全般的に渡り、いかなる場面でも完璧な音量、ニュアンスで、かつ柔和な響きで魅了させられる。テンポは中庸で、あまり変動は掛けない。

一方で菊池洋子のピアノは、特に前半は遠くにあるように聴こえる。私の列は17列目かつ上手側であるが、キチンと響かせていない形である。良く言えば、バボラークに遠慮した抑制的な演奏であるが、しかし「伴奏者」もパッションを出して「主役」に対抗し、「主役」に決起を促す役割はあるだろう。今日の菊池洋子は「貞淑な人妻」のような演奏で、あまり面白みがない。不倫をするかのような雰囲気を漂わせて「主役」に火をつけてもらいたかったところはある。

特に良かった演奏は、ケクランの「ホルン-ソナタ」、バルトシュの「エレジーとロンディーノ」であり、叙情的な曲で二人の演奏の方向性が似合っていたようには思う。

アンコールは5曲というか、一つの小品と一つの組曲の演奏で、曲目は、田中カレンの「魔法にかけられた森」から第二楽章、マイケル=ホーヴィット「サーカス組曲」から第一曲「行進曲」、第三曲「象」、第四曲「空中ブランコ」、第五曲「ピエロ」であった。

2013年10月5日土曜日

第88回 水戸室内管弦楽団 定期演奏会 演奏会評

2013年10月5日 土曜日
水戸芸術館 (茨城県水戸市)

曲目:
アントニーン=レイハ 演奏会用序曲 op.24
アントニオ=ロゼッティ 二つのホルンのための協奏曲 MurrayC56Q
ジャック=イベール 「ディヴェルティスマン」
(休憩)
ヨーゼフ=ハイドン 交響曲第101番「時計」 Hob.I-101

ホルン:ラデク=バボラーク、アンドレイ=ズスト
管弦楽:水戸室内管弦楽団(MCO)
指揮:ラデク=バボラーク

MCOは、ラデク=バボラークを指揮者に迎えて、2013年10月5日・6日に水戸で、第88回定期演奏会を開催した。この評は、第一日目の公演に対してのものである。

管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴァイオリン-チェロ→ヴィオラのモダン配置で、コントラバスはチェロの後方につく。木管パートは後方中央、ホルンは後方上手側、その他の金管・ティンパニは後方下手側の位置につく。

着席位置は正面やや前方やや上手寄り、客の入りは9割5分である。観客の鑑賞態度は、携帯電話のマナモードの音が一回あったが大きな影響は与えず、その要素を除けばかなり良好であった。楽曲の解説は、家業の都合で退職された元水戸芸術館学芸員の矢澤孝樹さんで、正面後方の席で臨席している。

第1曲目、レイハの「演奏会用序曲」は、ゼネラルパウゼで残響感を強調する場面があって面白い。

第2曲目のロゼッティの協奏曲は、ヨーゼフ=ハイドン作とされていたもの。バボラークとズストのホルンは柔らかい音色でかつユニゾンもしっかり揃っている。ソリストが先頭に立って走るというよりは、ソリストと管弦楽とが協調し盛り上げていくアプローチである。もっとも、残念ながらもともとの曲想が曲想なだけに、観客に強い印象を与えるものではない。

第3曲目のイベールのディヴェルティメント、最高に楽しい!もちろん、弦管打鍵全て非の打ち所がない完璧な演奏に支えられている。特に第五曲・第六曲は、スリリングな要素を持つ曲を演奏させたら無敵のMCOならではの完璧な演奏である。確か元ヴィーン-フィルのローランド=アルトマンさん、ホイッスルも特技なのですね

休憩後のハイドンの交響曲「時計」、第一・第三楽章は、ゆっくり目で一定のテンポで、濃厚なニュアンスで攻める。遅いテンポであることで見えてくるものはあるが、テンポが一定であることもあり躍動感があるわけではないので、好みは分かれるだろう。正直私が好みの展開ではない。

バボラークが冒険したのは第二・第四楽章だ。第二楽章はチクタクが気迫となる展開部の強い表現が印象的である。特に一回目の展開部は本当に見事だ。バボラークの指揮者としての構成力を思い知らされる。

第四楽章はスリリングな展開でドキドキさせて終わらせる。MCOの最も良い特質が出てくる展開で演奏会を締めくくる。

アンコールはなかった。