2013年5月4日土曜日

NHK交響楽団 軽井沢公演 演奏会評

2013年5月4日 土曜日
軽井沢大賀ホール (長野県北佐久郡軽井沢町)

曲目:
ジャン=シベリウス 「カレリア」組曲 op.11
ジャン=シベリウス 「四つの伝説曲」より「トゥオネラの白鳥」 op.22-2
ジャン=シベリウス 交響詩「フィンランディア」 op.26
(休憩)
ルートヴィッヒ=ファン=ベートーフェン 交響曲第7番 op.92

管弦楽:NHK交響楽団(N響)
指揮:広上淳一

軽井沢大賀ホール(芸術監督:ダニエル=ハーディング)では、4月27日から5月6日までに掛けて「軽井沢大賀ホール2013 春の音楽祭」としてクラシック音楽を中心に7公演を企画しており、その5番目の演奏会として開催されたものである。

昨年の明らかなミスが目立った軽井沢公演とは違い、完成度の高い演奏である。やはりN響は凄い。あの広上淳一の、言うこと聞いているとおかしな方向に進んでいきそうな指揮を、実にN響は良い方向に転換している。管楽器も実に良くきまっていて、昨日のTPOの下手くそな金管楽器とは全く違う出来に、こうでなくてはいけないとの思いを新たにする。

「トゥオネラの白鳥」では、第一ヴァイオリンが、恐怖の第七プルトまであった理由は謎である。この曲だけ第一ヴァイオリンを特別に増強させた広上淳一の意図は不明である。「フィンランディア」では前半、弦楽が濁り、広上の不用意な指揮に管弦楽がちょっと戸惑ったと感じられるところがあった。

休憩後のベートーフェン交響曲第7番は、前半のシベリウスをさらにパワーアップして、弦楽も管楽も素晴らしい出来で、とても完成度の高い演奏だ。緩急の付け方も申し分なく、フルオーケストラかつ軽井沢大賀ホールならではの凝縮された音圧を活かした演奏であり、文句の付けようがない。この曲を説得力を伴って演奏することは、実は難しい曲であるが、あの広上のダンスをしているとしか思えない指揮から、このようなキチっとした演奏が導き出されたのは、不思議としか言いようがない。きっと、N響のメンバーたちは、本気にしては行けないところは賢明に無視し、言う事を聞くべき部分のみ指揮者の指示に従っていたのだろう。そのN響の選択眼が素晴らしかったと言うべきか。

アンコールは、シベリウスの「悲しいワルツ」であった。