2013年5月19日日曜日

バルバラ=フリットリ ソプラノ-リサイタル 評 (東京公演)

2013年5月19日 日曜日
東京オペラシティ タケミツメモリアル (東京)

曲目:
ジュゼッペ=ヴェルディ 「哀れな男」「誘惑」「亡命者」
ジュゼッペ=ヴェルディ 歌劇「マクベス」より「魔女たちの踊り」(ピアノのみ)
ジュゼッペ=ヴェルディ 「墓に近寄らないでほしい」「ストルネッロ」「乾杯」
フランチェスコ=パオロ=トスティ 「アマランタの四つの歌」
(休憩)
リヒャルト=ヴァーグナー 「すべてはつかの間の幻」「眠れわが子」「かわいい人」「君を待つ」
リヒャルト=ヴァーグナー(リスト編曲) イゾルデの愛の死(ピアノのみ)
リヒャルト=ヴァーグナー 「ヴェーゼンドンク歌曲集」

ソプラノ:バルバラ=フリットリ
ピアノ:ムズィア=バクトゥリーゼ

着席位置は一階中央前方。客の入りは8~9割程である。

冒頭からフリットリの調子は悪く、声は完全にピアノに負けており、ホールに響き渡らない。

ピアノの音量は適切である。というより、ピアノがせっかく煽っているのに、フリットリはこれに乗れないのだ。これでは、歌にならないであろう。

前半部で唯一良かった出来は、トスティの「アマランタの四つの歌」二曲目「夜明けは光から暗闇を分かち」の後半部分のみである。

後半はいくらか調子を上げる。ヴァーグナーのヴェーゼンドルク歌曲集は、第三曲「温室にて」・第五曲「夢」が素晴らしい。弱音で攻める曲については良くなっているが、声量の面で問題があり、かつ音量をリニアにコントロール出来てはいない。劇的な表現ができない状態で、プログラム本編を終える。

なぜか、アンコールのみは完璧で、世界第一級の歌い手に期待する水準を満たしていた。声量面でも問題はないし、声量のコントロールが効き始め、ようやく本領を発揮した形である。時既に遅しといった形ではあるが。罪滅ぼしの意味があるのか、アンコールは三曲披露される。アンコールが最も素晴らしく、かつプログラム本編との落差があり過ぎ、不完全燃焼のリサイタルであった。