2013年5月18日 土曜日
宮崎県立芸術劇場 (宮崎県宮崎市)
曲目:
ヨハネス=ブラームス セレナード第2番 op.16
ヨハネス=ブラームス ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
(休憩)
ヴォルグガング=アマデウス=モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番 K.216
ヴォルグガング=アマデウス=モーツァルト ロンド(ハフナーセレナード K.250より)
ヴァイオリン:ピンカス=ズッカーマン
管弦楽:宮崎国際音楽祭管弦楽団
指揮:ピンカス=ズッカーマン
第18回宮崎国際音楽祭は、2013年4月29日から5月18日までにわたり、宮崎県立芸術劇場を中心に、室内管弦楽・室内楽を中心に10以上の公演を開催し、無事終了した。この評は、最終公演、5月18日に開催された演奏会に対してのものである。
宮崎国際音楽祭に臨席するのも、ピンカス=ズッカーマンの演奏を聴くのも初めてである。着席位置は、一階ほぼ中央である。
一曲目の配置は、舞台下手側から第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴァイオリン-チェロ→ヴィオラの順であり、二曲目以降は第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロの順となる。
前半のブラームスは、弦楽ベースの上に綺麗に管楽セクションが乗っかる演奏である。冒頭から響きのバランスに良く配慮されているのがよく分かる。
二曲目の「ハイドンの主題による変奏曲」は編成が大きくなったのが影響したのか、若干弦楽の線が乱れたところはあるが、全般的に良い演奏である。曲が曲なだけに、ちょっとしんみりした気持ちになって、前半を終了する。
休憩後の一曲目、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲3番K.216は、ズッカーマンがヴァイオリン-ソロと指揮を兼ねる指揮振りだ。冒頭、パッション溢れつつも縦の線がビシッと決まった管弦楽が、観客の心を見事に掴む。前半のブラームスから雰囲気がぐっと明るくなる。ズッカーマンのソロは名状し難い魅力がある。何とも説明はし難いのだが・・、ズッカーマンのヴァイオリンは管弦楽に負けず、朗々と響いていく。弱めな音であっても、どういう訳か響いてくる。ズッカーマンが持つヴァイオリンの癖のある音色を、極めて計算して響かせる演奏である。
最後はK.250「ハフナーセレナーデ」から、ロンド。だんだんパワーアップして来た今日の演奏であるが、モーツァルトの協奏曲の成果をぎゅっと凝縮させた演奏だ。確かな技巧はあるが、超絶技巧を前面に出した演奏ではなく、しかし絶妙な味があって、本当に幸せな気持ちになれる演奏会であった。