2019年10月29日火曜日

バレエに於ける「演技力」とは何か?

よく(特に「英国バレエ」ファンや、「英国バレエ」に拘りを持っている評論家たちが使う)「演技力」の概念を考えている。その役になるために「作り上げる」ことなのかなと考える。小野絢子さんに対して「絢子姫」と言う言葉がある通り、「姫」になり切るために「作り上げ」ている。木村優里りんもその系列かな?

他方、米沢唯ちゃんが「唯ちゃん」と言われるのは、舞台の上にいるのはその役と言うよりは「唯ちゃん」であるから。あたかも唯ちゃんがそこにいるかのように存在する。
唯ちゃんは「演じて」いるのだろうか?と思うくらいに、どの役のどの場面を現わす場合でも、リアルにそこに「唯ちゃん」がいる。

「ロメオとジュリエット」に於いて、ジュリエット役の唯ちゃんが乳母に対してイタズラを仕掛ける時、本当に日頃から仲のいい他ダンサーにイタズラ仕掛けているように思う。唯ちゃんはその時、何かを「加える」「味付けのソース」を掛けることは、多分考えていない。私には「演技力」と言うものは装飾に過ぎないと思っている。

(わる〜い女の美和りん(本島美和さん)が演じるような役のような、専ら「キャラクター」的要素で構成されている役であれば別だけど)通常バレエの「演技力」と言うものは、「踊り」の基盤の上にある「飾り」に過ぎない。
唯ちゃんほどになると、「飾り」で味つける必要は殆どないんだよね。「踊り」自体のニュアンスで攻めていく。

唯ちゃんは、「飾り」のために「踊り」のフォルムを崩すようなことはない(少なくとも、新国立劇場バレエ団の中では、最も崩さない)。
だから、純舞踊的に美しく上品で、しかし強い踊りが実現でき、(パートナーに最低限の技倆さえあれば、)観客に世界を示すことができる。

新国立劇場バレエ団は、ビントレー政権以降、「英国風」と言われる。「英国」=「演技力」の図式もよく言われ、妙に重視される。
しかし、米沢唯ちゃんを観ていると、人口に膾炙する「演技力」とは何か、再定義が必要なのではと思わせる。
そのように思わせるダンサーは、新国立劇場バレエ団では米沢唯ちゃんしかいない。

2019年10月20日日曜日

'Romeo and Juliet' (Kenneth MacMillan) National Ballet of Japan, Sunday, 20th October 2019

'Romeo and Juliet' (Kenneth MacMillan)
National Ballet of Japan
Sunday, 20th October 2019
New National Theatre, Tokyo (Japan)

YONEZAWA Yui (米沢唯)(Juliet Capulet) acts naturally and excellently. Her Juliet is pretty and mischievous character girl at Act 1, and ambiguity with both strength and weakness at Act 3. Especially Yui’s Juliet at Act 3 is incredible.

Her natural act is based on orthodox style beauty of ballet. Yui’s dancing with Count Paris is filled with empty beauty, for example her progress backward on point.

YONEZAWA Yui usually focuses style beauty. Her real Juliet is composed of (of course, intense act, but) style beauty. Her act teaches me that Juliet cannot be acted by acting skill alone.

MOTOJIMA Miwa(本島美和)(Lady Capulet) is also incredible acting at the lamentation of Tybalt’s death.
FUKUOKA Yudai(福岡雄大)(Tybalt) is the best Tybalt all over ballet in Japan. His Tybalt is filles with intimidation. I cannot believe Yudai’s Tybalt is beaten by the Romeo.

KINOSHITA Yoshito(木下嘉人)(Mercutio), HAYAMI Shogo(速水渉悟)(Benvolio), and TERADA Asako(寺田亜沙子), MASUDA Yuko(益田裕子), YAMADA Utako(山田歌子)(Three Harlots) are all excellent.

SEKI Akiho(関晶帆)(Rosaline) is excellent stage presence of her beauty and cold treat for Romeo. I think that she is best Rosaline of National Ballet of Japan.

2019年10月18日金曜日

‘Das Mädchen mit den Schwefelhölzern’ Ballett Zürich

‘Das Mädchen mit den Schwefelhölzern’
Ballett Zürich
Choreography: Christian Spuck
Music: Helmut Lachenmann
Friday, 18th October 2019

チューリッヒバレエ
「マッチ売りの少女」

改めて前から5番目の席から観劇して、心が打ち震える想い。私のこれまでの舞踊観劇歴の中で、音楽面振付面で最高水準の演目だ。

ドイツ語知らないで何が分かる?
難解な作品だけど理解してるの?
これらの批判は受け入れよう。
それでも、この音楽と舞踊との総合芸術の成果は凄いとは間違いなく言える。

「マッチ売りの少女」役、あの目は、金持ち平土間客への訴えであろうか?
佇まいがまさに マッチ売りの少女 であった。素晴らしいステージプレゼンス。

トップレスで抗議する女性活動家(手で胸を隠してる)の存在感。
デパート放火と思われる映像を背景に、見苦しい鵞鳥のような金持ちたちを燃やして奈落に突き落とす、社会批判の強さだ。

水兵による マッチ売りの少女 に対するセクハラ場面の直後に、肌色ボディスーツ(一見ヌード)を着た長身美女が出てくる。彼女たちは「火」を象徴しているのか?冷たい舞台の上で、彼女らの美しさ故なのか、奇妙にも暖かさを感じる。Christian Spuck の振り付けの素晴らしさだろう。

人間の身体を楽器にしてしまう、Lachenmann の天才ぶり。終盤の笙が出て来る場面の静謐な天国的な世界だけでも、彼の天才ぶりは証明される。

その Lachenmann の現代音楽に大胆にも振り付け、その世界観を視覚面で傑出した水準で示した Christian Spuck の振り付けには驚嘆させられた。

この演目は、単なるバレエの演目ではない。高度な水準のダンサー・歌い手・管弦楽・適切な規模の歌劇場、この四点が融合して傑出した舞台芸術を生み出す。歌劇場の総力が必要だ。

その意味で、この「マッチ売りの少女」は Opernhaus Zürich の歌劇場組織が総力を挙げた作品でもある。この作品を発表したチューリッヒ歌劇場には称賛を惜しまない。

2019年10月16日水曜日

Der Freischütz (Carl Maria von Weber) Opernhaus Zürich

Der Freischütz (Carl Maria von Weber)
Opernhaus Zürich
Wednesday, 16th October 2019

Production of Herbert Fritsch is almost comedy. Costumes of Victoria Behr are generally used bright colors. So the impression of stage is non-serious, but attractive because of the circus (7 persons) and Samiel (devil). I think the production is excellent.

Every soloist and ensemble members are generally excellent. Especially, Benjamin Bruns (Max), Christof Fischesser (Kaspar), Yannick Debus (Kilian), Florian Anderer (Samiel), and most most Lydia Teuscher (Ännchen).

Florian Anderer (Samiel) is engaging devil (kawaii as Japanese), not only characteristic song but also dancing, flying to the sky and climbing the wall (assisted by lifeline device. His Samiel is one of the key elements that led the ’Der Freischütz’ to success.

Lydia Teuscher (Ännchen) is most successful of the singers. Her basis is beautiful voice with excellent agilita but also characteristic funny voice. Lydia is the greatest.

Direttore d'orchestra is Axel Kober, his sound composition supports excellently singers.

Bravi tutti!!

2019年3月31日日曜日

新国立劇場バレエ団 DANCE to the Future 2019 感想

新国立劇場バレエ団 DANCE to the Future 2019 感想

2019年3月31日(日) 新国立劇場小劇場

「Improvisation即興」、米沢唯ちゃんの舞踊語彙の豊かさが活きる。

唯ちゃんと中島瑞生さんとの関わりが序盤で充実していた時点で、今回の即興の大成功が約束された。

福田紘也さんをネクラキャラにして、前半は完全封印したのも功を奏したのだろう。異質の性格を一つ作り上げるのに成功した。にしても、「静かにして下さい」とはね(笑)

それにしても、米沢唯ちゃんの活き活きとした明るい表情
音楽家イジリや鳥の仕草も完璧で、唯ちゃんの舞踊の輝くような明るさが現れていた。茶目っ気も溢れ、心の底から楽しくさせる。

米沢唯ちゃんの活き活きとした明るさが、渡邊峻郁さんや中島瑞生にも及び、四人のダンサーによる「即興」を極めて高い水準で成立させた。

疑いようもない名演であり、今回の DANCE to the Future 2019 最強の素晴らしさ!終演後のスタオベは当然であると言える。本当に、本領を発揮できた時の米沢唯ちゃんは無敵である。

その他、第一部「猫の皿」は落語であった。3月31日公演については、福岡雄大くんはピルエットで回り過ぎて頭のネジが外れた変わり者だと悪口を言っていたら、後ろから 背後霊雄大 が現れて・・・のネタ(笑)。本島美和さん・福田圭吾くん・福岡雄大くんの、動物的とも言える視線が独特の雰囲気を醸し出していた。

第二部の「Danae」は、木村優里さん渡邊峻郁さんのステージプレゼンスがポイントで、「beyond the limits of...」も八人の群舞的性格が活きた作品であった。

2019年2月17日日曜日

新国立劇場 オペラ「紫苑物語」 感想

新国立劇場 オペラ「紫苑物語」
作曲:西村朗
新国立劇場創作委嘱作品

2019年2月17日(日)世界初演

一言で言えば、日本の国立オペラの責務を十全に果たした、傑出した内容であった。

再演を強く希望したい。

歌い手、東京都交響楽団の管弦楽、舞台装置、いずれも最高水準であった。

日本でも、日本人だけでも(少なくとも実演者は、ソリストは日本人で独占、合唱団含めても日本在住者だけだろう)、傑出した内容のオペラはやれることを示した。

歌い手全てが、西村朗が求める音程の揺らぎを実現させた。歌い手全てが素晴らしいという完璧さ!

歌の出だしは、うつろ姫役の清水華澄さん、圧倒的な歌い出しで、この時点で「紫苑物語」上演の成功を約束しただろう。彼女は、うつろ姫の狂いぶりを、圧倒的かつ重量級の声量とニュアンスで表現した。

もちろん、主役 宗頼役 高田智宏 (注:高の字はハシゴ)は完璧である。休む間が少なく、過酷な役であったのにも関わらず、終始圧倒的な声量とニュアンスで、この上演を引っ張った。

高田智宏・清水華澄の二人は、全てが素晴らしいソリスト陣の中でも圧倒的だった。

藤内役の村上敏明は、エロエロ奸計野郎を見事に演じたし、千草役の 臼木あい は高音が得意そうで、第二幕序盤の「狐のカデンツァ」は彼女のスイート音域で素晴らしかった。

平太役の大沼徹も第二幕だけの登場が惜しいほどで、高田智宏と完璧に対抗しており、第二幕の山場を築き上げた。

合唱団も素晴らしく、狐を取りに行った家来を宗頼が射た後の女性合唱の美しさをはじめ、聞きどころがたくさんあった。

管弦楽は東京都交響楽団。常設管弦楽団の中では、日本のトップを走るオケだけあり、完璧な技量で支える。しかも、サイトウキネンのように歌い手を邪魔しない。歌い手を立てつつ、全体としてのハーモニーを一音一音考慮した響きで奏でていた。新国立劇場の全ての公演を、東京都交響楽団に担当してもらいたい程だ。指揮者 大野和士 の指示も的確なのだろう。

舞台装置も素晴らしい。日本の歌舞伎由来の黒衣を上手く使いつつ、鏡の使い方、プロジェクションマッピングの用い方も的確であった。

新国立劇場が世界に誇れるプロダクションであった。重ねて言うが、再演を、2020/21シーズンでの再演を強く希望する。

2019年2月11日月曜日

Patricia Kopacinskaia + Θεόδωρος Κουρεντζής + MusicAeterna 演奏会感想

Patricia Kopacinskaia + Θεόδωρος Κουρεντζής + MusicAeterna

2019年2月11日(月)すみだトリフォニーホール。

チャイコフスキーの協奏曲、Patricia Kopacinskaia のソロは、一言で言うと天才的だ。ロマ音楽のような即興性を持ち、全体的に堅固な構成で攻めるタイプとは真逆の方向性だ。消え入りそうな最弱奏をも駆使し、他方でテンポを激しく動かし、加速させる。私は面白く興味深かったが、好みではない聴衆もいたであろう。やりたい放題やっているようだが、管弦楽との打ち合わせは十二分にやっている箇所もある。

観客に背を向けて舞台奥方を向いて管弦楽を煽る奏者は初めて見た!足音もたてたりするよ!!

多少の荒れを厭わない激しい演奏と言えばそうなのだろうけど、実のところ弱奏や繊細さでも勝負してるので、大管弦楽との協奏曲は本来向かないと思う。
ソリスト アンコールは怒涛の三曲であった。

Kopacinskaia が第二楽章で極めて弱く演奏している際の、柔らかなホルンの下支えは、驚異的なスタヴィリティを伴うものだった。Kopacinskaia の超絶弱奏とのハーモニーが完璧に成り立っていた。

このホルンの例にもある通り、管弦楽の技量は極めて高い。木管も随所で見せ場を作った。他方、アンコール「ロメオとジュリエッタ」で見せた金管の最強奏は、輝かしく美しい。

弦楽も素晴らしいが、わずかに管楽優位の印象を持った。

チャイコフスキーの第四交響曲は、技量の高さは伺えるが、テンポの遅さもあり、前半はダレた感がある。第四楽章は素晴らしかった。

アンコールは幻想組曲「ロメオとジュリエッタ」と20分超級の豪華なもの。演奏の熱量と技量のとの絡み合いは、第四交響曲を上回った。

Patricia Kopacinskaia についてさらに述べる。
彼女が一番向いているのは、音響の良い中小規模のホールでのソロか、室内管弦楽との協奏曲であろう。松本市音楽文化ホールや電気文化会館(名古屋市)、彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールといったホールでなら、弱奏も音圧が掛かってくれるから。
大管弦楽との共演は、音量の大きさが必須の要素もあり、彼女向きではない。正直、すみだトリフォニーホール(1801席)でも、ホールが大き過ぎると感じた。
タケミツメモリアルなら、あるいは東京ではなく金沢の石川県立音楽堂であればと、思いながら聴いてたのも事実である。
大阪公演ではフェスティバルホールを使用するそうだが、2700席規模でのホールを選択するのは失当であろう。なぜシンフォニーホールを選択しなかったのか、理解に苦しむ。2月10日のオーチャードホール公演は、論外であったと思われる。これは、松本市に住み、大部分の音楽公演を中小規模のホールで聴いている私の偏見であろうか?

2019年1月17日木曜日

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー バレエ」(2019) 感想

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー バレエ」

上演演目:「レ シルフィード」「火の鳥」「ペトルーシュカ」

2019年1月12日から14日(計3公演)新国立劇場大劇場。三公演とも臨席した。

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バレエリュスの三作品を上演した。「レ シルフィード」「ペトルーシュカ」は、ミハイル フォーキンの振り付け、「火の鳥」のみ中村恩恵による読み替え新制作。「ペトルーシュカ」の舞台装置は、バーミンガム ロイヤル バレエ団から借りたものである。

「ニューイヤー」を銘打つ割には、最後は亡霊で終わる。オメデタイ気分で来た方は・・・。
本来「トリプルビル」で売り込むべきところなのでしょうけど、「ニューイヤー バレエ」と商業的にタイトルつけないと、客が来ないっぽいからそうしているらしい。なお新国立劇場バレエ団は「ヴァレンタイン バレエ」と称して恋人同士を引き寄せておきながら、オディールのパドゥドゥを披露するという、鬼畜な演目を用意した実績があり、リア充に対する企画制作者の怨念が垣間見える(笑)。

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「レ シルフィード」は細田千晶さんの浮遊感に注目させられた。群舞は13・14日公演が素晴らしかったか。木村優里さんの長い手足を活かした華やかさがいい。他方、小野絢子さんも不利な体形を全く感じさせずに繊細に形作った。

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「火の鳥」は、ダンサーの実演面では秀逸であり、全てのダンサーが中村恩恵の意図を十二分に表現したものであった。

「娘」役は、米沢唯ちゃん・五月女遥さん、いずれも男性ダンサーに与えられる速さに適応していた。一回本番を通した後で観劇した五月女遥さんは、小柄な体格から与えられる名状しがたい印象が感じられた。14日公演の米沢唯ちゃんは、五月女さんが与えた印象の他に、さらなる舞踊自体の完成度の高さ、不安感や中性的な雰囲気の表現、王子役から羽を取り上げるために誘惑する箇所での、ワルイ子ちゃんの要素と恋してるかもの要素のどちらとも取れそうな、あるいは両方ありそうな不思議な表情があり、終盤部は特に心を打ち震わせるものであった。

他、王子役井沢駿さんと反乱軍リーダー役の福岡雄大さんとの対峙、火の鳥役の演技、黒衣、反乱軍に至るまで、士気の高さを感じさせるものである。ダンサーの実演面では、絶賛に値するものである。

しかしながら、後半にある性暴力シーン(内容は明らかに集団強姦→(プログラム記載によると)妊娠)は断じて容認できないものである。そのシーンの後の展開を考慮しても、雰囲気を単に暗澹とさせるだけで、幅広い解釈を観客に委ねながら、実は観客の想像力を限定して阻害した。ストーリー構成面を考慮しても性暴力シーンを入れた必然性は極めて乏しい。

性暴力シーンは、絶対的禁忌とまでは行かずとも、少なくとも極めて慎重な取り扱いを要する。今回、原作から敢えて改変した読み替え(歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を上演するのとは訳が違う)の過程で、ストーリー構成の検討はなされたのか、他に手段はなかったのか、厳格な検討が実施されたとは思えない。振付者の意図を実現するダンサーには、振付家の奴隷ではなく、当然人格と言うものがあり、比較的固定されたメンバーで構成される座付きバレエ団での性暴力シーンは、ダンサーの人心の荒廃につながるだろう。1月14日の千秋楽公演が限界なのではないか。

実演が素晴らしかったから再演するべきとの考えには、強く反対する。これ以上の上演は、観客の人心の荒廃をも齎す。

前述した事情を踏まえ、振付者やダンサーの見解とは全く別の、現代社会を反映した外部の目により厳格に判断されなければならない。この内容では、封印するしかないというのが私の考えである。

この「火の鳥」は封印するべきだが、この振り付けの失敗に関わらず、当然バレエ団として新作は発表していくべきである。
客席から飛ばさない照明、反乱軍が女装して王子を誘惑しようとする「ワルイ子ちゃんになっちゃうよ」の場面等、素晴らしい箇所もあったのだから、中村恩恵さんの次作に期待をすればいいだけのことだ。中村恩恵さんの作品を再演するのであれば、「ベートーヴェン ソナタ」を本島美和さんの引退前に行うべきであろう。

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「ペトルーシュカ」は、特に核となる、人形ペトルーシュカ役奥村康祐さん、人形バレリーナ役池田理沙子さん、共に完璧であり名演であった。奥村康祐さんはいかにも弱弱しい脱力感や悲哀を見事に表現し、最後の亡霊の場面も圧巻であった。池田理沙子さんはハマり役で、人形に求められているカワイさは生得のものであり、人形役に求められる特殊技能を完璧に会得し、コミカルな仕草で魅了させた。

その他、謝肉祭の場面での群衆たちの描写を、バレエ団の総力を挙げて実現した。福田圭吾さんの女装趣味(「火の鳥」での「これから「ワルイ子ちゃん」になっちゃうよ」のシーンと、「ペトルーシュカ」での「仮装の乳母」のシーン)は本当に楽しませてもらえた。悪魔の仮装役速水渉悟さんの跳躍を始め、福田圭吾さん登場後の男性ダンサーが集結し跳躍する場面は圧巻であり、謝肉祭終盤の場面を盛り上げた。

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実質トリプルビルの「ニューイヤー バレエ」は素晴らしい実演で終わった。35分規模の作品を三つ上演する形態であったが、今後も埋もれている一幕物の作品を掘り起こしていってほしい。ヒナステラ作曲の「エスタンシア」辺り、見てみたいと思っている。

新国立劇場バレエ団プリンシパル 米沢唯さん 2019年出演記録

新国立劇場バレエ団プリンシパル 米沢唯さん 2019年出演記録
(2019年12月31日現在)

【注意事項】
・新国立劇場バレエ団プリンシパル 米沢唯さん の2019年出演記録(実績)
・特に記載がない公演は、新国立劇場バレエ団の公演、場所は新国立劇場、主催者は新国立劇場運営財団。
・情報の利用は、各自ご確認の上、自己責任で行われたい。

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2019年1月12日(土) 「ニューイヤー バレエ」(「火の鳥」娘 Maiden)
2019年1月14日(月・祝) 「ニューイヤー バレエ」(「火の鳥」娘 Maiden)

2019年1月25日(金) 「バレエダンサー吉田 都からのメッセージ』中 「We Love Piano」・「ドン キホーテ」抜粋より(キテリア役)
文京シビックホール(東京)
主催:石神井バレエ・アカデミー
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2019年3月2日(土) 「ラ バヤデール」ガムザッティ
2019年3月3日(日) 「ラ バヤデール」 ニキヤ
2019年3月9日(土)夜公演 「ラ バヤデール」ガムザッティ
2019年3月10日(日) 「ラ バヤデール」 ニキヤ

2019年3月29日(金) 「Dance to the Future 2019」中「beyond the limits of...」
2019年3月30日(土)昼公演 「Dance to the Future 2019」中「beyond the limits of...」・「Improvisation 即興」
2019年3月30日(土)夜公演 「Dance to the Future 2019」中「beyond the limits of...」
2019年3月31日(日) 「Dance to the Future 2019」中「beyond the limits of...」・「Improvisation 即興」
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2019年4月27日(土) 「シンデレラ」シンデレラ
2019年5月3日(金) 「シンデレラ」シンデレラ
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2019年6月16日(日) 「アラジン」プリンセス
2019年6月23日(日) 「アラジン」プリンセス
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2019年7月27日(土)午前公演 子ども「白鳥の湖」オデット/オディール
2019年7月28日(日)午後公演 子ども「白鳥の湖」オデット/オディール
2019年7月30日(火)午前公演 子ども「白鳥の湖」オデット/オディール
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2019年8月3日(土) バレエ アステラス2019 「ドン キホーテ」第三幕より キテリア
2019年8月4日(日) バレエ アステラス2019 「ドン キホーテ」第三幕より キテリア
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2019年8月7日(水) 「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演 Last Dance」 誕生日の贈り物 -Birthday Offering-・「ドン・キホーテ」グラン パ ド ドゥ
2019年8月8日(木) 「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演 Last Dance」誕生日の贈り物 -Birthday Offering-・「ドン・キホーテ」グラン パ ド ドゥ
新国立劇場大劇場
主催:日本放送協会
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2019年8月16日(金) 大和シティバレエ夏季公演 ‘Four to Four’・’accordance’
大和市文化創造拠点シリウス(神奈川県大和市)
主催:佐々木三夏バレエアカデミー
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2019年9月6日(金) Iwaki Ballet Company 「Ballet Gala 2019」「パキータ」より
新宿区立新宿文化センター(東京)
主催:Iwaki Ballet Company
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2019年10月20日(日)昼公演 「ロメオとジュリエッタ」ジュリエッタ
2019年10月27日(日) 「ロメオとジュリエッタ」ジュリエッタ
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2019年11月10日(日)「くるみ割り人形」クララ
札幌文化芸術劇場 hitaru (札幌市)
主催:札幌市芸術文化財団
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2019年11月30日(土) 「ベートーヴェン ソナタ」ジュリエッタ
2019年12月1日(日) 「ベートーヴェン ソナタ」ジュリエッタ
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2019年12月14日(土)昼公演 「くるみ割り人形」クララ【確定】
2019年12月15日(日)夜公演 「くるみ割り人形」クララ【確定】
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