2019年2月11日月曜日

Patricia Kopacinskaia + Θεόδωρος Κουρεντζής + MusicAeterna 演奏会感想

Patricia Kopacinskaia + Θεόδωρος Κουρεντζής + MusicAeterna

2019年2月11日(月)すみだトリフォニーホール。

チャイコフスキーの協奏曲、Patricia Kopacinskaia のソロは、一言で言うと天才的だ。ロマ音楽のような即興性を持ち、全体的に堅固な構成で攻めるタイプとは真逆の方向性だ。消え入りそうな最弱奏をも駆使し、他方でテンポを激しく動かし、加速させる。私は面白く興味深かったが、好みではない聴衆もいたであろう。やりたい放題やっているようだが、管弦楽との打ち合わせは十二分にやっている箇所もある。

観客に背を向けて舞台奥方を向いて管弦楽を煽る奏者は初めて見た!足音もたてたりするよ!!

多少の荒れを厭わない激しい演奏と言えばそうなのだろうけど、実のところ弱奏や繊細さでも勝負してるので、大管弦楽との協奏曲は本来向かないと思う。
ソリスト アンコールは怒涛の三曲であった。

Kopacinskaia が第二楽章で極めて弱く演奏している際の、柔らかなホルンの下支えは、驚異的なスタヴィリティを伴うものだった。Kopacinskaia の超絶弱奏とのハーモニーが完璧に成り立っていた。

このホルンの例にもある通り、管弦楽の技量は極めて高い。木管も随所で見せ場を作った。他方、アンコール「ロメオとジュリエッタ」で見せた金管の最強奏は、輝かしく美しい。

弦楽も素晴らしいが、わずかに管楽優位の印象を持った。

チャイコフスキーの第四交響曲は、技量の高さは伺えるが、テンポの遅さもあり、前半はダレた感がある。第四楽章は素晴らしかった。

アンコールは幻想組曲「ロメオとジュリエッタ」と20分超級の豪華なもの。演奏の熱量と技量のとの絡み合いは、第四交響曲を上回った。

Patricia Kopacinskaia についてさらに述べる。
彼女が一番向いているのは、音響の良い中小規模のホールでのソロか、室内管弦楽との協奏曲であろう。松本市音楽文化ホールや電気文化会館(名古屋市)、彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールといったホールでなら、弱奏も音圧が掛かってくれるから。
大管弦楽との共演は、音量の大きさが必須の要素もあり、彼女向きではない。正直、すみだトリフォニーホール(1801席)でも、ホールが大き過ぎると感じた。
タケミツメモリアルなら、あるいは東京ではなく金沢の石川県立音楽堂であればと、思いながら聴いてたのも事実である。
大阪公演ではフェスティバルホールを使用するそうだが、2700席規模でのホールを選択するのは失当であろう。なぜシンフォニーホールを選択しなかったのか、理解に苦しむ。2月10日のオーチャードホール公演は、論外であったと思われる。これは、松本市に住み、大部分の音楽公演を中小規模のホールで聴いている私の偏見であろうか?