2015年8月1日土曜日

Noism 近代童話劇シリーズ vol.1 「箱入り娘」 感想

2015年8月1日 土曜日
新潟市民芸術文化会館 りゅーとぴあ スタジオB (新潟県新潟市)

演目:箱入り娘

出演:Noism1

箱入り娘(我儘娘):井関佐和子
Ne(e)T(無業男):佐藤琢哉
老魔女(悪戯老婆):石原悠子
イケ面(木偶の坊):吉﨑裕也
湖母(娘の養母):簡麟懿(男性である)
お芋(娘の侍女):池ヶ谷奏
欅父(娘の養父):上田尚弘
deザイナー(衣装デザイナー):梶田留以
あしすたんと(deザイナーのアシスタント):亀井彩加
花黒衣(老魔女のアシスタント):亀井彩加・梶田留以
カメラ兎(謎の撮影者):角田レオナルド仁

振り付け・演出:金森穣
音楽:バルトーク=ベーラ「かかし王子」
衣装:堂本教子
映像:遠藤龍

Noism 1は、2015年6月6日から8月1日に掛けて、「箱入り娘」を本拠地新潟で13公演・横浜で6公演・金沢で2公演、計21公演上演した。この感想は、8月1日千秋楽公演のものである。

着席位置は下手側かつやや後方、チケットは完売している。7/25以降のチケットは全て完売したとの情報が入っている。観客の鑑賞態度は極めて良好であった。

(以下、演劇色の強い舞踊であり、新作であるため、ネタばれ注意!)

りゅーとぴあの4階にあるスタジオBでの公演である。開演30分前にホワイエまで入場が可能となる。ホワイエには仕掛けが一つあり、覗いてみてねと貼り紙がある。覗いてみると、(私の部屋ほどではないけど♪)散らかっている和室が一つあるが、特に何の変哲もない。何だろうなあと思いつつ。。

観客の入場が終了するかしないかの内に、明らかに観客席を映している映像が、舞台のスクリーンに映し出される。映し出されて手を振っている観客もいる。どこにカメラがあるのか探して見たところ、舞台下手側にいるピンク色の兎によるものだ。しばらくその光景が続いた後、大きな物音がしてからだったか、登場人物の紹介がどこかの地方語を用いて為される。どこの地方語かは分からないが、琉球語でもなく球磨語でもないため、共通語さえ分かっている観客であれば理解は可能だ。

私にとってNoism公演は初めてで、井関佐和子さんを実際に目にするのは初めてであったが、「箱入り娘」役で登場した彼女は予想に反して可愛い。予想に反してなどと言うと消されてしまいそうだが、ずっとボーイッシュなイメージが強かったので、白い衣装に包まれて、予期していたイメージとは違っていたので。。

演劇色の強い舞踊である。冒頭の登場人物紹介以外に言葉はない。箱入り娘はイケ面大好き、まずはイケ面を狙う。木偶の坊でも何でも、イケ面でさえあればいいのだ。Ne(e)Tは箱入り娘が大好きで狙っていたり、妄想に耽っていたりし、スクリーンに映し出される映像により、ホワイエに展示されていた部屋が実はNe(e)Tの部屋である事が明かされる。

しかしながらイケ面は変態(途中から背中から尻まで露出するスーツ姿となる)である事が明らかになり、実はNe(e)Tはそこそこイケメンであり、箱入り娘は乗り換えようとしたりするが、その辺りの展開が最も面白く私の好みの箇所である。

結局は、箱入り娘は老婆になって終わる。どこまでが映像でどこからが妄想なのか?スクリーンに映し出されるホワイエの映像はどこまでがライブでどこからが収録物の再生なのか?金森監督は観客に対して内緒にしている。

アフタートークで金森監督が出て、いくらか質問に答えたりする。観客からの質問も、要領を得ないものや自分語りのものは全くなく、素晴らしい質問ばかりだ。金森監督は飄飄とした雰囲気でありながら、かなり真面目に回答してくれる。

終盤近くの海の映像は、新潟市西部にある五十嵐浜で収録したものであるとのこと、新潟を本拠地にしているだけあり、日本海の映像であることは必須だったらしいが、地元でよい撮影地があったとのことだろう。

この「箱入り娘」は、「水と土の芸術祭」の一環として、小学生以下のみの観客の公演を一公演、65歳以上のみの観客の公演を一公演、上演している。観客の反応が通常公演と違っていたそうだ。小学生以下の公演ではピンク色の兎に対する反応が、65歳以上の公演ではお芋(娘の侍女)に対する反応が強かったとのこと。地味系なお芋が恋を成就させるかも・・・、の箇所での反応が鋭かったらしい。

Ne(e)Tの別室については、横浜KAAT公演では りゅーとぴあ よりも舞台面積が広かったため、舞台上に別室を置いたとのこと、金沢では別室の設置スペースがなかったとのことである。観客がホワイエに設置してあるNe(e)Tの部屋を覗いてみる事が出来たのは、本拠地である りゅーとぴあ 観客のみであったのかもしれない。

6月にこの「箱入り娘」の公演が始まった時は賛否両論であったらしいが、否の意見の内容とは、シャープなダンスが観られないことのようだ。まあ「近代童話劇シリーズ」なのだから、その路線の公演内容ではないだろうな。

Noismの存在をしったのは、私が舞踊公演を頻繁に観劇しに行くようになってからなので、約一年くらい前の話か。2011年のサイトウ-キネン-フェスティバルで松本に来たようであるが、そもそもペルー旅行を最優先して一公演も観に行かなかったし、そもそもこの舞踊に対する関心が全くなかった頃なので、存在を知らなかったのだ。横浜KAATでも金沢21世紀美術館でも、ましてや(別の演目であるが)NHKホールで初めてNoismを観劇することは、信越地区在住の私としては決してしたくなかった。念願を本拠地である新潟市の りゅーとぴあ でかなえる事ができ、嬉しく思う。

演劇面でも舞踊面でも素晴らしい公演である。今後とも出来得る限り新潟で、Noismの公演を見に行きたい。