2013年7月14日日曜日

日本センチュリー交響楽団 福井公演 演奏会評

2013年7月14日 日曜日
福井県立音楽堂(ハーモニーホールふくい) (福井県福井市)

曲目:
ルートヴィッヒ=ファン=ベートーフェン ヴァイオリン協奏曲 op.61
(休憩)
カミーユ=サン-サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ op.28
モーリス=ラヴェル 「ツィガーヌ」
イーゴル=ストラヴィンスキー バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

ヴァイオリン:戸田弥生
管弦楽:日本センチュリー交響楽団(JCSO) (旧大阪センチュリー交響楽団)
指揮:沼尻竜典

日本センチュリー交響楽団は、7月14日・15日に、福井・岸和田(大阪府)にて特別演奏会を行った。この評は、7月14日福井での公演に対するものである。

着席位置は、前方上手側である。客の入りは7割くらいか、舞台後方(オルガン側)の席は全て空席で、事実上閉鎖扱いである。

ベートーフェンのヴァイオリン協奏曲、戸田弥生はゆっくり目で朗々と響かせる演奏である。朗々と響かせながらも、どこか緊張感を伴っている。細部に至るまで真摯に音作りをしたのが良く分かる。特に第一・第二楽章は非常に優れた演奏である。戸田弥生の演奏の本質は、今年1月の無伴奏リサイタル(福井県立音楽堂 小ホール)の時と変わりない。聴衆の側にも真剣勝負が求められる演奏で、遊びというか愉悦感を求める方には向かないとは思う。管弦楽は対決的アプローチではなく、協調しサポートする方向性で、縦の線が揃ったきれいな響きである。

戸田弥生の地元であるせいか、大盤振る舞いの演奏会で、ベートーフェンの大曲を演奏した後で、休憩後にも二曲小品を演奏する、異例のプログラムである。普通に優れた演奏である。

「火の鳥」は古典的端正さを伴う演奏であり、管弦楽のバランスが良く取れている。一方で、管楽が出るべきところでちゃんと出るのがいい。想像以上にいい管弦楽団だ。

アンコールはビゼーの「アルルの女」より「ファランドール」であった。