2016年4月17日 日曜日
Sunday 17th April 2016
新国立劇場 (東京)
New National Theatre Tokyo (Tokyo, Japan)
演目:
Umberto Giordano: Opera ‘Andrea Chénier’
ウンベルト=ジョルダーノ 歌劇「アンドレア=シェニエ」
Andrea Chénier : Carlo Ventre (カルロ=ヴェントレ)
Maddalena di Coigny: Maria José Siri (マリア=ホセ=シリ)
Carlo Gérard: Vittorio Vitelli(ヴィットリオ=ヴィテッリ)
Roucher: Kamie Hayato (上江隼人)
un Incredibile: Matsuura Ken (松浦健)
la Contessa di Coigny: Moriyama Kyoko (森山京子)
Bersi: Shimizu Kasumi (清水華澄)
Madelon: Takemoto Setsuko (竹本節子)
Mathieu: Okubo Makoto (大久保眞)
Fléville : Komada Toshiaki (駒田敏章)
l’Abate: Kamoshita Minoru (加茂下稔)
Fouquier Tinville: Sudo Shingo (須藤慎吾)
Dumas: Omori Ichiei (大森いちえい)
Il Maestro di Casa/Schmidt: Okubo Mitsuya (大久保光哉)
Coro: New National Theatre Chorus (合唱:新国立劇場合唱団)
Director: Philippe Arlaud (演出:フィリップ=アルロー)
Set design: Philippe Arlaud(装置:フィリップ=アルロー)
Costumes design: Andrea Uhmann (衣裳:アンドレア=ウーマン)
Lighting design: Tatsuta Yuji (照明:立田雄士)
Stage Maneger: Saito Miho (舞台監督:斉藤美穂)
orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra (管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団)
maestro del Coro: Misawa Fminori (合唱指導:三澤洋史)
direttore: Jader Bignamini (指揮:ヤデル=ビニャミーニ)
新国立劇場は、2016年4月14日から4月23日までの日程で、ウンベルト=ジョルダーノ歌劇「アンドレア=シェニエ」を4公演開催する。この評は2016年4月17日に催された第二回目の公演に対するものである。
着席位置は一階やや前方上手側である。観客の入りは九割程はあったか?観客の鑑賞態度は、極めて良好だった。
(以下ネタバレ注意)
舞台は先進的なもので、新国立劇場ご自慢の廻り舞台がフルに活かされる。赤いオペラカーテンを一切用いず、ギロチンをモチーフとした斜めに切られた舞台装置は、疑問の余地なく秀逸なものだ。第一幕と第二幕の間の幕間のギロチン器材映写も素晴らしい。
ソリストの出来について述べる。
一番の出来は、Maddalena 役の Maria José Siri だ。新国立劇場で求められる爆音の要件を満たしたばかりでなく、終始ニュアンスに富んだ歌唱で観客を魅了した。第三幕での Gérard が改心する前のアリアは完璧だった。Maddalena への欲望に燃える Gérard が改心する説得力溢れるアリアで、まさしくこの公演の白眉だ。このアリアで涙腺の緩まない者は、誰一人としていないだろう。
Maria José Siri 程でないにせよ、題名役の Carlo Ventre 、Gérard 役の Vittorio Vitelli と、外国人ソリストは士気溢れる歌唱を披露し、これに影響されたのか、Bersi 役の清水華澄、Madelon 役の竹本節子も素晴らしかった。
第一幕・第二幕と、爆演系の力技で観客をノックアウトさせようとする陰謀に乗せられてたまるかと思った。このAndrea Chénierは音が多い箇所があり、そう言った箇所での響きの精緻さについては疑問の余地があろうが、そんな要素などどうでも良くなる第三幕・第四幕だった。
この三月に大評判だった「イェヌーファ」・「サロメ」は見ていない条件で言うけど、この「アンドレア=シェニエ」は私が観劇した数少ない新国立劇場のオペラ公演の中で、間違いなく一番の出来だ。視覚面でも聴覚面でも。意気揚々と松本に帰ってる!
わずか四公演だけなのが勿体無い素晴らしい出来だ!20日・23日と、あと二公演あるが、期待して観劇して欲しい!