2014年11月8日 土曜日 / Saturday, 8th November 2014
新国立劇場(東京)/ New National Theatre, Tokyo (NNTT) (Tokyo, Japan)
バレエカンパニー:新国立劇場バレエ団 (National Ballet of Japan)
主な配役
アウロラ姫:米沢唯 (Yonezawa Yui)
デジレ王子:ヴァディム=ムンタギロフ(ゲスト) (Вадим Мунтагиров/Vadim Muntagirov)(guest)
カラボス:本島美和 (Motojima Miwa)
リラの精:瀬島五月(ゲスト)(Sejima Satsuki)(guest)
フロリナ王女:小野絢子 (Ono Ayako)
青い鳥:菅野英男 (Sugano Hideo)
芸術監督:大原永子 (Ohara Noriko)
振り付け:ウエイン=イーグリング (Wayne Eagling)
装置:川口直次 (Kawaguchi Naoji)
衣装:トゥール=ファン=シャイク (Toer van Schayk)
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 (Tokyo Philharmonic Orchestra/TPO)
指揮:ギャヴィン=サザーランド (Gavin Sutherland)
新国立劇場バレエ団は、11月8日から11月16日までピョートル=イリイッチ=チャイコフスキー作曲の「眠れるの森の美女」を計6公演、新国立劇場で上演する。この「眠れる森の美女」にて、2014/2015シーズンが開幕する。
この評は、初日11月8日の公演に対するものである。
着席位置は一階やや後方上手側。観客の入りは、当日券の発売はあったものの、ほぼ満席であろうか。観客の鑑賞態度はかなり良好であった。
まずプロローグから。カラボス役の本島美和がコワイコワイ♪怖くて泣いちゃいました(嘘)。どのくらいコワイかと言うと、湯川麻美子のエピーヌ皇后陛下(パゴダの王子)を上回るほど♪今回の本島美和は、妖艶さよりは怖さを優先させた演技のように思えます。(ゲストで登場した瀬島)五月リラは美和カラボスに勝てるのでしょうか?純演技的に観察すると、とてもそのようには見えません♪まあ、悪役の方がいい子ちゃん役よりも個性が出やすいので、止むを得ないですね。
六人の妖精の中では、「勇敢の精」の奥田花純ちゃんが私の好みです。まあ、メリハリ効かせた振りを確実に決めれば、あきらにゃん的には盛り上がります。七人の男性ダンサー群舞の精度の高さが印象に残ります。
一回目の休憩の後の、第一幕でいよいよ米沢唯ちゃんが主役アウロラ姫役で登場です♪
唯ちゃんは、まさしく「様式美の権化」。完璧でないように完璧に踊る完璧な出来です!どういう意味かと言うと、技巧の完璧さを前面に出さずに、完璧に踊っているのです。
米沢唯ちゃんは、四人の求婚者に対し、あれだけ長い時間お相手しながら、全く空中に浮かせている脚部を揺るがさずに、静止技をずっと綺麗に止めているし、いざ動いたら、切り味鋭くなさそうで(だから、技巧を前面に出していない!)シャープに決める完璧な出来です。
カラボス本島美和さんが怖くて泣いちゃった、と言うのは冗談だけど、アウロラ姫米沢唯ちゃんの完璧な演技には、本当に涙腺がウルウルしてきます。唯ちゃんならではの完璧な技術が、様式美を極めて、観客を高揚させる光景を見ました。パッションに頼らず、様式美を完璧に突き詰め、観客の心を奪うのであります。そのような稀有な現場をこの目で見ました。
第三幕、米沢唯ちゃんとВадим Мунтагировとのコンビも良かったように思えます。唯ちゃんが完全に地面から浮き上がる、大見得を切る場面の美しさは完璧です。ダンサー全てが素晴らしかったけど、唯ちゃんがずば抜けていて、一人で持っていった感じであります。
第三幕、この他にも宝石の四人(エメラルド:細田千晶、サファイア:寺田亜沙子、アメジスト:堀口純、ゴールド:福岡雄大)(一つ事件が発生しましたが、見なかった事にします♪)やフロリナ王女(小野絢子)、青い鳥(菅野英男)も、息が合った演技で堅実でしたし、五月女遥の赤頭巾ちゃんも面白かったです。
ウエイン=イーグリングの振り付けも、違和感を感じさせるところはなく、舞台装置の華麗さと共に楽しめました。「現代人の時間感覚」に合わせて大幅カットとの当初路線は修正され、休憩計50分を含めて、195分の上演時間となりました。おそらく、大切な踊り、大切な音楽がカットされた部分はなかったように思えます。
で、結論は、「米沢唯ちゃんは無敵です」、というところでしょうか。以上唯ちゃん贔屓のあきらにゃんからでした♪♪にゃんにゃん♪♪♪