2014年8月26日火曜日

サイトウ-キネン-フェスティバル 歌劇「ファルスタッフ」 評(二回目の観劇) Saito Kinen Festival Matsumoto, Opera ‘Falstaff’

2014年8月26日 火曜日/ Tuesday 26th August 2014
まつもと市民芸術館 (長野県松本市)/ Matsumoto Performing Arts Centre (Matsumoto, Japan)

演目:
ジュゼッペ=ヴェルディ 歌劇「ファルスタッフ」 Giuseppe Verdi ‘Falstaff’

Sir John Falstaff: Quinn Kelsey (クイン=ケルシー)
Ford: Massimo Cavalletti (マッシモ=カヴァレッティ)
Fenton: Paolo Fanale (パオロ=ファナーレ)
Alice Ford: Maite Alberola (マイテ=アルベローラ)
Nanetta: Maureen McKay (モーリーン=マッケイ)
Dame Quickly: Jane Henschel (ジェーン=ヘンシェル)
Meg Page: Jamie Barton (ジャイミー=バートン)
Bardolpho: Keith Jameson (キース=ジェイムソン)
Pistola: David Soar (ディヴィッド=ソアー)
Dr. Caius: Raúl Giménez (ラウル=ヒメネス)

Chorus: Saito Kinen Festival Matsumoto Chorus 合唱:サイトウ-キネン-フェスティバル松本合唱団

Director: David Kneuss 演出:ディヴィッド=ニース
Set design & Costumes design: Robert Perdziola 装置・衣装:ロバート=ペルジオーラ
Lighting design: Rick Fisher  照明:リック=フィッシャー

Orchestra: Saito Kinen Orchestra 管弦楽:サイトウ-キネン-オーケストラ
Conductor: Fabio Luisi 指揮:ファビオ=ルイージ

今日も懲りずに「ファルスタッフ」を見に行きました。当日券売り場に行ったら、既に売られてはいたけれど、前方中央すら虫食い状に販売対象となっていた有り様です。メトロポリタン歌劇場で実績を上げた指揮者が来るのに、どうして売れないのか、私には信じられません。松本市民の一人として、松本の恥だと思います。ファビオ=ルイージ応援のために、松本市民の誇りを賭けて立ち上がり、気が付いたら歌劇場に突入した訳です♪

24日は12列ど真ん中(オケピットのため6列潰れるので、新国立劇場基準で言うと前から6列目)、今日は21列わずかに上手側(新国立劇場基準だと15列目)です。

まつもと市民芸術館は席によってかなり響きの差が大きいですね。12列目では歌唱が直撃しますが、後方21列目だと歌唱が減衰する一方で、管弦楽がバンバン響いてきます。新国立劇場以上にまつもと市民芸術館は一階席の勾配が急なので、ちょうど21列目は貴賓席に相当する場所になります。

24日の席よりは、管弦楽優位に聴こえました。特に第一幕では、クイン=ケルシーが24日と比べたら少し不調に思えたほどです。歌唱だけを聴きたいのであれば、前方の席が良さそうです。基本的に歌い手に関する感想は、24日の感想と同じです。

一方で管弦楽の音色を堪能できました。特に第二幕の偽フォンターナのソロの場面や第三幕での管弦楽の響きは、ファビオ=ルイージにより慎重に吟味され、的確に選択され、精緻に実行された美しいものでした。小澤征爾時代の暴走族としか言いようがなかった時には信じがたいほどの繊細さを持つもので、本当に弱奏が綺麗に響き渡っていました。サイトウ-キネンのオケの音色は、実に美しくなりました。もちろん、多少歌唱が細くてもしっかりと支える効果もあります。

やはり歌劇は、歌劇場でしっかりとキャリアを積んだ指揮者でなければだめなのだなあと、思い知らされました。ファビオ=ルイージ、万々歳です。