2013年2月16日 土曜日
横浜みなとみらいホール (神奈川県横浜市)
曲目:
ヨハネス=ブラームス ピアノ-トリオ第1番 op.8
(休憩)
モーリス-ラヴェル ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
フェリックス=メンデルスゾーン=バルトルディ ピアノ-トリオ第1番 op.49
ヴァイオリン:諏訪内晶子
ヴァイオリン-チェロ:ピーテル=ヴィスペルウェイ
ピアノ:江口玲
私の席:真ん中より上手側。
「国際音楽祭NIPPON」は諏訪内晶子を芸術監督としており、今年は横浜で3公演、仙台で1公演、開催される。この演奏会は、「国際音楽祭NIPPON」初年第三回目の演奏会となる。ヴァイオリン-チェロのピーテル=ヴィスペルウェイはネーデルラント王国ハールレム生まれの50歳、ピアノ奏者である江口玲も同じく50歳になったばかりで、諏訪内より九歳年上の世代となる。
全体的に完成度の高い演奏であり、どこで誰を際立たせるか、よく配慮された演奏会である。奇を衒う解釈はなく、自然な流れの演奏である。江口玲のピアノは控えめであるが、そのようなピアノでも表に出てくる場合は、他の二つの弦楽器が巧くサポートしている。
ブラームスは地味な曲ではあるが、フーガ、ユニゾンがきれいに決まっていて、この曲の魅力を引き出している。
最も面白い演奏はラヴェルである。ピアノを配慮する必要がないせいか、ヴァイオリンとチェロのデュオがパッションを剥き出しにしている。他の二曲が、様々な制約の下どのように弾いていくかをよく考えている演奏であるのに対し、そのような制約がないのか、より自由に躍動しているかのような演奏だ。巨大なみなとみらいホールにいるとは思えない程の力強い響きをも実現させていた。
なお、この演奏会はNHK BSプレミアムで日本時間2013年3月27日朝6時から放送された。