昨日・今日と、大阪のフェスティバルホールに行きまして、エスパーニャ国立バレエ団 (BNE / Ballet Nacional de España) (スペイン国立バレエ団)の公演を二公演、観劇しました。
11/7公演は、「ファルーカ」「ビバ-ナバーラ」「ボレロ」、ここで休憩を置いて後半は、「セビージャ組曲」の演目。
11/8公演は、「マントンのソレア」「ボレロ」、ここで休憩を置いて「セビージャ組曲」の演目でした。
「バレエ団」という名称ではありますが、皆さんが想像されるような「白鳥の湖」のような古典演目も、先日、新国立劇場バレエ団が上演した「ホフマン物語」のような、物語系演目も、キリアンのようなコンテンポラリー-ダンスも、演じません。
バレエと言っても、バレエ-フラメンコ、要するにフラメンコです。普通のバレエは、CNDエスパーニャ国立ダンスカンパニーで演じます。ダンスカンパニーの方は、昨年、名古屋・横浜で上演したので、記憶に残っている方も多いでしょう。
どうしてこのような逆転現象が起きたのですって?まあ、歴史的経緯なり、大人の事情なのではないでしょうか??
しかしながら、BNEのダンサーの多くは、普通のバレエの素養を持っています。振り付けはどう考えても、バレエのものとしか思えない箇所が多いです。もちろん、どの演目も足踏みのフラメンコの要素は保っています。フラメンコとバレエを融合させたと言うのが、私の理解です。
やはり、「ボレロ」と「セビージャ組曲」の二つは、このBNEの鉄壁演目です。
「ボレロ」は男性ソロと女性群舞・男性群舞とで構成され、二回目の繰り返しからずっと男性ソロが踊り続けます。両日とも、セルヒオ=ベルナルでした。
セルヒオの踊りはとにかく優美で、緩やかなテンポの所作が完璧なテンポ感でしなやかに決まっております。また、シャープに決めるべき箇所も決して優美さを失わない点が凄いです。演技力を重視するバレエファンの方は多いですが、純舞踊的技術の完璧さは、やはり大事です。
日本のバレエ団に於ける男性ダンサーの課題は、如何に優美さと躍動感とを高い次元で両立させるかにあるような気がします。
セルヒオは、まさに両方満たしています。多分、BNEの看板ダンサーなのではないでしょうか。
やはりこの「ボレロ」はBNEしかできない演目です。普通のバレエとフラメンコ双方の高度技術が必要なのと、セルヒオ=ベルナルの存在です。足踏みの音は、お立ち台版では実現不可能でしょう。衣装は赤と黒だけを用いたシンプルなものですが、とても美しいです。女性の方は、上半身裸であるセルヒオの肉体美にメロメロになられた事でしょう♪
後半は「セビージャ組曲」も、BNEの総力を結集した演目です。
「エスペランサ」の場面と思われる箇所の、白い女性ダンサーソロは、日替わりでした。
11/7公演のミリアム=メンドーサさんは、リフトされた状態での揺るぎの無さはもちろんのこと、終始様式美を完璧に保っておりました。このようにあるべき という所で完璧に美しく踊っております。
11/8公演のインマクラーダ=サンチェスさんは、11/7の「ビバ-ナバーラ」の時は私の心に入って行きませんでしたが、今日は素晴らしかったです。
「バイラオール」での六人の男性群舞はシャープで迫力がありました。
「夢の散歩道」の官能的な場面を経て、最後の「歓喜」の場面はいつまでも続いて欲しいほどです。ソロなしの26人による群舞は、フォーメーションが巧みでお祭りを思わせるものでありました。終盤部分をアレンジしたアンコールもあり、巧みな構成に驚愕します。
BNEの「ボレロ」と「セビージャ組曲」は、何度観ても飽きないでしょう!
新旧合わせて、初めてのフェスティバルホールは、気持ちを高揚させて終わりました。