2016年11月28日 月曜日
Monday 28th November 2016
ロイヤルオペラハウス コヴェントガーデン (連合王国ロンドン市)
Royal Opera House, Covent Garden (London, U.K.)
演目:
Jacques Offenbach: Opera ‘Les Contes d'Hoffmann’
ジャック=オッフェンバック 歌劇「ホフマン物語」
Hoffmann: Leonardo Capalbo
FourVillains: Thomas Hampson
Olympia: Sofia Fomina
Giulietta: Christine Rice
Antonia: Sonya Yoncheva
Nicklausse: Kate Lindsey
Spalanzani: Christophe Mortagne
Crespel: Eric Halfvarson
Four Servants: Vincent Ordonneau
Spirit of Antonia's Mother: Catherine Carby
Nathanael: David Junghoon Kim
Hermann: Charles Rice
Schlemil: Yuriy Yurchuk
Luther: Jeremy White
Stella: Olga Sabadoch
Coro: Royal Opera Chorus
Director: John Schlesinger
Set design: William Dudley
Costumes design: Maria Björnson
Lighting design: David Hersey
Choreographer: Eleanor Fazan
Fight director: William Hobbs
orchestra: Orchestra of the Royal Opera House
direttore: Evelino Pidò
ロイヤルオペラハウス コヴェントガーデンは、2016年11月11日から12月3日までの日程で、ジャック=オッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」を7公演開催する。この評は2016年11月28日に催された第6公演に対するものである。演出は1980年に初演されたものである。
着席位置は一階中央やや下手側である。チケットは完売した。観客の鑑賞態度は概ね良好であった。
舞台は伝統的なものであり、衣装を含めて前衛的な要素は何一つない、正統的なものだ。古風であるが、よく作り込まれた舞台で、安っぽさを感じる箇所が全くない豪華なものだ。
ソリストの出来について述べる。
あまりに素晴らし過ぎて言葉が出ない。歌い手のソリストが全て見事で、全く穴がなく、ホフマンもオリンピアもジュリエッタもアントニアもリンドルフもニコラウスもその他も完璧な「完璧なホフマン物語」である。
ピットは深めで(写真のハープで深さを推察して欲しい)、管弦楽が上手く音がすっぽ抜けたのか、歌をよく聴ける感じとなった。バレエ公演の時に、大して上手ではないと思っていたが、今日は非常に見事であった。
オリンピア役の Sofia Fomina はあんなに歌えて踊れて、観客を沸き立たせていた。ジュリエッタ役の Christine Rice も歌えて素晴らしい。
アントニア役の Sonya Yoncheva は、とにかく圧巻である。単独でも、ホフマン役との二重唱、母親亡霊+ミラクル博士との三重奏でも、もうこれ以上は望む事はできない。12/3は「個人的な事情」により代役になってしまうため、 Sonya Yoncheva のアントニアは今日が千秋楽で、本当に聴けてよかった!
題名役の Leonardo Capalbo は、長時間にわたり声量・ニュアンスとも完璧で、主役として劇場空間を支配した。ニコラウス(ズボン役)の Kate Lindsey も同様だ。このコンビも素晴らし過ぎました。
その他、リンドルフ役の Thomas Hampson 、クレスペル役の Eric Halfvarson 、アントニアの母親の亡霊役の Catherine Carby 等出番の少ない役も、声量ニュアンスとも完璧だった。
全てがあまりに素晴らし過ぎて、エピローグの前の「舟歌」を聴いている最中に、ここまでの見事な歌いっぷり演じっぷりを思い出して、泣き出しそうになり、舞台上部の紋章を見て、なんとか堪えた程だ。こんな完璧なオペラは初めてで、一生のうちでもそうそう味わえないレベルである。ロイヤルオペラハウス-コヴェントガーデンのプロダクションの力量を思い知らさた。