2016年12月1日木曜日

Hamburgische Staatsoper, Opera ‘Senza Sangue’ ‘A kékszakállú herceg vára’ (2016) review ハンブルク州立歌劇場 歌劇「無血で」・「青ひげ公の城」 感想

2016年11月30日 水曜日
Wednesday 30th November 2016
ハンブルク州立歌劇場 (ドイツ連邦共和国ハンブルク市)
Hamburgische Staatsoper (Hamburg, Bundesrepublik Deutschland)

演目:
Eötvös Péter: Opera ‘Senza Sangue’
エトヴェシュ=ペーテル 歌劇「無血で」
Bartók Béla: Opera ‘A kékszakállú herceg vára’ Sz.48 op.11
バルトーク=ベーラ 歌劇「青ひげ公の城」

‘Senza Sangue’
La donna: Angela Denoke
L'uomo: Sergei Leiferkus
‘A kékszakállú herceg vára’
Kékszakállú: Bálint Szabó
Judit: Claudia Mahnke

Director: Dmitri Tcherniakov
Set design: Dmitri Tcherniakov
Costume design: Elena Zaytseva
Lighting design: Gleb Filshtinsky
Dramaturgie: Johannes Blum
Video: Tieni Burkhalter

orchestra: Philharmonisches Staatsorchester Hamburg
direttore: 不明 (当初 Eötvös Péter の予定であったが、別のマジャール人指揮者に変更となった。

ハンブルク州立歌劇場は、2016年11月6日から11月30日までの日程で、マジャール人の作曲家・指揮者であるエトヴェシュ=ペーテルを指揮者に招いて(11月30日公演は、別の指揮者)、自身による作曲の歌劇「無血で」と、同じマジャール人であるバルトーク=ベーラの歌劇「青ひげ公の城」の二本立てを計7公演開催する。この評は2016年11月30日に催された第7公演千秋楽に対するものである。「無血で」は2016年に初演されたものである。

着席位置は一階前方わずかに上手側である。観客の入りは約半数であり、現代作品に対しては興行面では苦戦する結果となった。観客の鑑賞態度は良好である。

舞台はシンプルでありながら美しいものである。「無血で」は霧が立ち込める舞台から始まった。ホテルの部屋に入室するプロジェクターマッピングの後で、「無血で」と一体化した形で「青ひげ公の城」をそのまま上演する。キャストは変わるが、衣装はそのままなので、「青ひげ公の城」を知らない人にとっては、「無血で」の後編と思えてしまう巧みな構成だ。「無血で」はイタリア語、「青ひげ公の城」はマジャール語での上演である。ホテルの一室を思わせる「青ひげ公の城」の舞台は、終盤でのプロジェクターマッピングが秀逸である。

終始二人の男女による、緊迫感のある演劇だ。オペラと言うよりは、演劇、二人芝居を見た感覚になる。濃厚な管弦楽に負けることなく、全ての歌い手が声量・ニュアンスとも優れた歌唱である。

管弦楽も、優れた表現を、精度が高く濃密な表現で実現し、惹きつけられられた。

作品の構成が優れており、音楽と演劇とが高い次元で一体化した、素晴らしい作品でである。日本では決して観劇する事が出来ない、この新作の上演に立ち会えて、嬉しい気持ちだ。

また、興行面云々を脇に置いて、このような優れた新作オペラの発表の場を提供する、ハンブルク州立歌劇場の姿勢は、世界中の歌劇場の模範であろう。

今回の旅では、日本では味わえないマイナーな作品であるけど、芸術性の高いオペラ作品を観ることも目的とした。テアトロ-レアルの「皇帝ティートの慈悲」と共に、大成功と考えて良いだろう。

(この文面作成に当たり、現地在住の信頼できる消息筋からの貴重な情報を活用した。厚く御礼申し上げる。)