2015年9月26日土曜日

Aichi Chamber Orchestra, the 15th Subscription Concert, review 愛知室内オーケストラ 第15回 定期演奏会 評

2015年9月26日 土曜日
Saturday 26th September 2015
三井住友海上しらかわホール (愛知県名古屋市)
Shirakawa Hall (Nagoya, Japan)

曲目:
Carl August Nielsen: Suite op.1 FS.6 (組曲)
Carl August Nielsen: Concerto per clarinetto e orchestra op.57 FS.129
(休憩)
Jean Sibelius: “La Tempesta” Suite n.2 op.109-3 (「嵐」第二組曲)
Einojuhani Rautavaara: “Cantus Arcticus” op.61 (鳥の協奏曲)

clarinetto: 芹澤美帆 / Serizawa Miho
orchestra: Aichi Chamber Orchestra(愛知室内オーケストラ)
direttore: 新田ユリ / Nitta Yuri

愛知室内オーケストラは、2015年9月26日に三井住友海上しらかわホールで、第15回定期演奏会を開催した。クラリネット独奏は同オーケストラのクラリネット奏者である芹澤美帆、指揮は新田ユリである。

管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴィオラ→ヴァイオリン-チェロのモダン配置で、コントラバスはチェロの後方につく。木管パートは後方中央、ホルンは後方下手側、小太鼓は後方中央、ハープ・チェレスタ・その他のパーカッションは下手側の位置につく。

着席位置は一階正面やや後方中央、観客の入りは六割程である。観客の鑑賞態度は、寝息が聞こえてくる時間帯もあったが、拍手開始のタイミングは適切であり、非常に良好だったと言える。

新田ユリの構成力がしっかりしており、奇を衒わずに何をどうするべきかを明確にした導きに、管弦楽が見事に応えた演奏である。

全般的に弦がしっかりしていて、ニュアンス豊かに、要所を確実に決めてくる。特にニルセン「組曲」第三楽章の強いヴァイオリンの響きや、「鳥の協奏曲」でのチェロのソロが素晴らしい。また、シベリウスは弦楽重視の感もあったが、弦楽が充実していると曲全体が充実して聴こえてくる。

クラリネット協奏曲の芹澤美帆のクラリネットは、曲の進行に連れてノリノリになり、カデンツァその他の難しいそうな見せ場が素晴らしい。

最後のラウタヴァーラの「鳥の協奏曲」は、管弦楽全ての総力が的確に絡み合う見事な演奏である。最初のフルートから決まっていて、これを引き継ぐ管楽、厚みのある弦楽が加わって、ラウタヴァーラの曲を形作る。「鳥の協奏曲」であり、名の通りに鳥の鳴き声がバンダで聴こえたかのように思ったが、実の所は謎である。鳥の鳴き声をステージマネージャーが流したのか。下手側側廊から、舞台袖から、舞台背後の廊下から鳴らしているようにも聴こえる。まさしく舞台上には存在しない鳥がソリストの協奏曲であるが、しらかわホールを知り尽くした構成で魅了された。この作品が聴けただけでも感謝である!。1928年生まれのスオミの作曲家の真価を見事に日本に示した。

アンコールはシベリウスの「舞踏間奏曲」で、センスの良い選曲に加え、熱意のある演奏でこの演奏会を終えた。