2017年4月29日土曜日

New National Theatre Tokyo, Opera ‘Le nozze di Figaro’ (2017) review 新国立劇場 歌劇「フィガロの結婚」 感想

2017年4月29日 土曜日
Saturday 29th April 2017
新国立劇場 (東京)
New National Theatre Tokyo (Tokyo, Japan)

演目:
Wolfgang Amadeus Mozart: Opera ‘Le nozze di Figaro’ K.492
ヴォルフガング=アマデウス=モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」

Il Conte Almaviva: Pietro Spagnoli
La Contessa: Aga Mikolaj
Figaro: Adam Palka
Susanna: 中村恵理 / Nakamura Eri
Cherubino: Jana Kurucová
Marcellina: 竹本節子 / Takemoto Setsuko
Bartolo: 久保田真澄 / Kubota Masumi
Basilio: 小山陽次郎 / Oyama Yojiro
Don Curzio: 糸賀修平 / Itoga Shuhei
Antonio: 晴雅彦 / Hare Masahiko
Barbarina: 吉原圭子 / Yoshihara Keiko
due Fanciulle: 岩本麻里 / Iwamoto Mari, 小林昌代 Kobayashi Masayo

Coro: New National Theatre Chorus (合唱:新国立劇場合唱団)

Production: Andreas Homoki
Set design: Frank Philipp Schlössmann
Costumes design: Mechthild Seipel
Lighting design: Franck Evin

orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra (管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団)
maestro del Coro: 三澤洋史 / Misawa Hirofumi)
direttore: Constantin Trinks

新国立劇場は、2017年4月20日から29日までの日程で、コンスタンティン=トリンクスの指揮による歌劇「フィガロの結婚」を4公演開催した。この評は2017年4月29日に催された第四回目、千秋楽公演に対するものである。

着席位置は二階正面中央である。天皇陛下のお座りになる位置である。観客の入りはほぼ満席か。観客の鑑賞態度は、概ね極めて良好であった。

ソリストの出来について述べる。

4月23日の出来で最も素晴らしかったのは、ケルビーノ役の Jana Kurucová であったが、今日の公演では、ロジーナ役の Aga Mikolaj であった。

Aga Mikolaj は、4月23日公演では冒頭部の登場場面でのヴィブラートが気になったが、今日は特に美しく響いた。席の場所によるものかもしれない。

もちろん、ケルビーノ役の Jana Kurucová は今日も素晴らしい。また、マルチェリーナ役の竹本節子も、若い男に対する欲望と、母親としての慈愛を的確に表現した。

スザンナ役の中村恵理は、モーツァルトにしては重い声である。どうもソプラノを聴いた実感がない。メゾソプラノの Jana Kurucová の方が余程スザンナに向いているように思える私の感覚はおかしいか?

中村恵理を含め、他のソリストは、場面場面での出来不出来が激しいように思えた。

管弦楽については、やはり金管の実力が、モーツァルトやハイドンといったような、古典派だからこそ厳しく求められることを実感する。ホルンの出来は、素晴らしく溶け込んだハーモニーを構成したと思える箇所もあれば、ガタガタな場面でモーツァルトの意図を壊した場面もあり、モーツァルトの音楽が管弦楽奏者に求める残虐なまでの要求が露呈する結果となった。