2017年1月15日 日曜日
Sunday 15th January 2017
水戸芸術館 (茨城県水戸市)
Art Tower Mito, Concert Hall ATM (Mito, Japan)
曲目:
Wolfgang Amadeus Mozart: Sinfonia concertante per violino, viola e orchestra
K.364
(休憩)
Ludwig van Beethoven: Sinfonia n.1 op.21
violino: 竹澤恭子 / Takezawa Kyoko
viola: 川本嘉子 / Kawamoto Yoshiko
orchestra: Mito Chamber Orchestra(水戸室内管弦楽団)
direttore: 小澤征爾 / Ozawa Seiji
水戸室内管弦楽団(MCO)は小澤征爾を指揮者、ヴァイオリン-ソリストに竹澤恭子、ヴィオラ-ソリストを川本嘉子として、2017年1月13日・15日に水戸芸術館で、17日に神奈川県川崎市にあるミューザ川崎シンフォニーホールで、第98回定期演奏会を開催する。この評は、第二日目の公演に対してのものである。
小澤征爾の指揮は、Beethoven のみである。
管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴァイオリン-チェロ→ヴィオラのモダン配置で、コントラバスはチェロの後方につく。木管パートは後方中央、トランペットとティンパニは後方下手側、ホルンはMozartでは後方中央下手側、Beethovenでは後方上手側の位置につく。ティンパニはバロック-ティンパニを使用した。
着席位置は一階正面最後方わずかに下手側、チケットは補助席を含めて完売した。
コンサートマスター/ミストレスは、Mozartは渡辺實和子、Beethovenは豊嶋泰嗣が担当した。
指揮者なしではの演奏であるモーツァルトの協奏交響曲は、竹澤恭子の仕掛けが目立った。ソロの部分だけ遅くしたり、ニュアンスを掛けたりして面白い。川本嘉子のヴィオラもよく響き、ヴァイオリンと対等に、この協奏交響曲を構築する。室内管弦楽団かつ中規模ホールならではの素晴らしい演奏だった。この響きは、2000席を超すミューザ川崎では臨めない。ちゃんと本拠地である水戸芸術館まで来た聴衆こそが味わえる至福である。
ホルンがもう少し管弦楽に溶け込むアプローチだと、私のモロ好みであるが、これは贅沢な望みであろうか。
演奏中、下手側の楽屋への扉が少し開いていたが、小澤征爾が座って聴いていたのであろう。
後半は、小澤征爾が指揮者として登場する。厳しい厳しい、禁欲的な演奏だ。私の好みのヴィヴィッドな演奏とは対極に位置する演奏であるが、全曲に渡り感銘を受けた。
私が特に感銘を受けた箇所は、第四楽章の、繊細にして厳しくニュアンスを掛けた冒頭や、第三楽章の、敢えて厳しく抑制して進行させる展開がバッチリハマる。
特に第一楽章では、オーボエの Philippe Tondre / フィリップ=トーンドゥルの妙技が味わえる。川崎の聴衆は味わえない贅沢な時間だ。
室内管弦楽団かつ中規模ホールならではの特質が十全に活きる。大規模ホールでの演奏のような無理は一切ない。
私は常々、Beethoven や Schubert 辺りまでは、室内管弦楽団かつ中規模ホールで演奏するべきと思っているが、今日の水戸室内管弦楽団の演奏会は正にこの私の確信を裏打ちするものであった。