2016年10月22日土曜日

国立劇場 歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」第一部 感想

今日は、国立劇場にて歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の第一部を観劇しました。国立劇場開場50周年記念事業の目玉として、三部に分けて「仮名手本忠臣蔵」を上演する企画の、第一弾となります。10月公演では四段目まで、大雑把に言えば、塩冶判官が切腹するまでの場面となります。

あぜくら会に入会し、頑張ってチケ取りしましたため、とちり中央席確保しての観劇となりました!

開演10分前に、エヘン口上人形が出てきて、配役を述べて行きますが、これは聞いておいた方がいいでしょう。この口上自体がと言うよりは、後になって「エヘン」がキーワードになるからです。

私にとって印象に残った箇所は、まずは二段目の「桃井館力弥使者の場」で、小浪と力弥とのウブっぷりが素晴らしい。小浪役の中村米吉は本当に可愛いい娘に化けていて、実は男であることを知らなければ惚れてしまいそうです!

三段目の「門前の場」は諧謔の場面で笑える箇所です。加古川本蔵を謀殺するべく練習する場面で、「エヘンと言ったら、何もかも打ち捨てバッサリ」の場面では、大受けしてしまいました♪詳細は、本番を観ましょうね♪♪

四段目で塩冶判官切腹後の焼香の場面では、香りが客席まで漂って来ます。四段目の空気感は、月並みな言い方だけど、やはり緊迫するものです。私にとって涙腺が決壊しそうになった場面は、切腹の場面ではなく、最後に家来たちが去り、大星由良之助が一人になった場面でありました。誰もいなくなって、冷静さを保っていた感情をはじめて露わにする由良之助の姿に、心を動かされずにはいられません。

今回の国立劇場のプロダクションでは、カットされる事が多い場面も上演されているとのこと、これ故に、この「仮名手本忠臣蔵」の構成の巧みさを思い知らされます。シリアスな場面だけでなく、小浪と力弥との初々しい恋の場面や、「エヘンと言ったら、何もかも打ち捨てバッサリ」の場面と言ったような諧謔を挿入して、観客を惹きつけています。国立劇場開場50周年記念に相応しい、名作の真価を味わいました。