2015年6月21日 日曜日
Sunday 21st June 2015
彩の国さいたま芸術劇場 (埼玉県与野市)
Sainokuni Saitama Arts Theater (Yono, Saitama, Japan)
演目:MORPHED (モーフト)
dancer: Ima Iduozee, Leo Kirjonen, Saku Koistinen, Mikko Lampinen, Jarkko Lehmus, Pekka Louhio, Jussi Nousiainen, David Scarantino
スオミ国(フィンランド)首都ヘルシンキに本拠を置く Tero Saarinen Company は、2015年6月20日・21日に、彩の国さいたま芸術劇場で、日本公演を開催した。この評は、第二日目の公演に対してのものである。
冒頭は幾何学的な動きから始まる。音楽は、モーツァルトでもチャイコフスキーでもない、現代曲のエサ-ペッカ=サロネン(Esa-Pekka Salonen)の曲でもあり、曲想から想像することはまず不可能で、振りが極めて難しいそうだ。
中盤二曲目の後半辺りから弛緩しない展開で最後まで持っていく。ロープを動かして背景を歪まる空間の処理が、実に巧みだ。三曲目サロネンのヴァイオリン協奏曲に入ってからの、2〜3人のダンサーによる展開や、終盤近くの腕にタトウを入れている Ima Iduozee のソロは特に素晴らしい。
Ima Iduozee のソロのどこが良いのかと言われると言語化は難しいが、表情の他あらゆる身体の動きが、求心力を保っている。この演目は、幾何学的な動きから、闘っているような動きや、愛し合っているような動き、そう言った物語的な展開へと移行して行くが、Ima の演技はあたかも物語を雄弁に語り、所作がとても美しい。もちろん、全てのダンサーが的確に役を演じているが、終盤近くに登場した Ima Iduozee が持っていってしまう感じである。
この演目は、第三曲にサロネンのヴァイオリン協奏曲が用いられている。録音を用いているが、ヴァイオリンのソリストは諏訪内晶子(Suwanai Akiko)とのことだ。
実は、諏訪内晶子とエサ-ペッカ=サロネン、フィルハーモニー管弦楽団により、2013年2月9日に横浜みなとみらいホールで日本初演されている(恐らく現在に至るまで再演がなく、日本で唯一の公演となっている)。この時に臨席した私の拙い感想は→ http://ookiakira.blogspot.jp/2013/02/blog-post_6547.html?m=0
に掲載している。
どうりで、どこかで聴いた事があるはずだ。本当に近現代曲の諏訪内晶子のヴァイオリンは無敵と言って良い。サロネンの素晴らしい曲想が、諏訪内晶子の抜群なテクニックで実現されていることが、録音を聴いても分かる程だ。2013年2月9日の日本初演から二年四ヶ月して、今度は舞踊公演で再開した。なんと言う縁であろう。
日本とスオミとの関わりにも感慨深いものを感じる、Tero Saarinen Company の日本公演であった。