2015年5月4日月曜日

Tokyo Philharmonic Orchestra, Cheong Myeonghun, Karuizawa Ohga Hall the 10th Anniversary Concert (4th May 2015), review 東京フィルハーモニー交響楽団 軽井沢大賀ホール開館10周年記念演奏会 評

2015年5月4日 月曜日
Monday 4th May 2015
軽井沢大賀ホール (長野県北佐久郡軽井沢町)
Karuizawa Ohga Hall (Karuizawa, Nagano prefecture, Japan)

曲目:
Wolfgang Amadeus Mozart: Concerto per pianoforte e orchestra n.23 K488
(休憩)
Ludwig van Beethoven: Sinfonia n.7 op.92

pianoforte: 鄭明勳(Cheong Myeonghun/チョン=ミョンフン)
orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra(東京フィルハーモニー交響楽団)
direttore: 鄭明勳(Cheong Myeonghun/チョン=ミョンフン)

東京フィルハーモニー交響楽団は、2015年5月4日に軽井沢大賀ホールで、軽井沢大賀ホール開館10周年記念演奏会を開催した。指揮・ピアノは、鄭明勳(チョン=ミョンフン)である。このプログラムでの演奏会は、「ラ-フォル-ジュルネ金沢」にも持ち込まれ、2015年5月5日に石川県立音楽堂でも演奏される。

着席位置は一階正面後方中央、チケットは完売している。観客の鑑賞態度は、概ね良好であった。

冒頭からアンコールがあり、モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」をミョンフンのピアノソロであった。

モーツァルトのピアノ協奏曲23番では、ピアノを上手側後方に斜めに向け、ピアノの蓋は取らずに通常のまま開いた形態である。その周りに半円状に、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴァイオリン-チェロ→ヴィオラ→管楽器と囲んでいる。コントラバスは、下手側後方に位置する。

今日はピアノ・管弦楽とも端正に響き、生々しさを感じさせず、綺麗に響いている。デッドな響きの感覚がしないのは、不思議だ。モーツァルトの曲想を活かし、古典派ならではの興奮度を意図した演奏ではあるが、第一楽章で演奏し直しのアクシデントがあった。原因は不明である。その箇所は、長い文脈を経て最高音に達する途中の白眉の箇所であり、ぶつ切り状態となってしまったのは残念である。管楽は、やや大管弦楽のノリっぽい。第三楽章後半部はパッションが込められ、素晴らしい出来である。

ソリストアンコールがここで二曲あり、シューマンの「アラベスク」とBeethoven の「エリーゼのために」である。「エリーゼのために」は大賀緑さんへのラブレターとして捧げられたが、今日のピアノ-ソロの中では一番いい出来である。

Beethovenの第7交響曲の管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴァイオリン-チェロ→ヴィオラのモダン配置で、コントラバスは最上手側を占める。木管・金管パートは後方、ティンパニは後方上手側にズラした位置につく。

第二〜第四楽章まで、私の好みそのまま!きっちり計算され尽くされて、興奮に導かれた感じである。中程度に効かせたテンポの変動の巧みさ、長いフェルマータ、金管のソロの強調などが特徴となるか。緊張感を失わない第二楽章、第三楽章ではA-B-AのAの部分を速く快活にし、Bの部分をかなり遅くしじっくり聴かせる対比が面白い。弦管打きちっと噛み合い、全体的な構成もしっかりしている。終了間近の追い込みの箇所も、見事に実現した。

今日の東フィルは、本当に響きが綺麗である。軽井沢大賀ホールを一番美しく響かせる演奏だ。明日5月5日に、金沢市にある石川県立音楽堂でもBeethovenの7番が演奏される。期待して欲しい!