2015年1月18日日曜日

'DANCE to the Future -Third Steps-' review 評

2015年1月18日 日曜日 / Sunday, 18th January 2015
新国立劇場 小劇場(東京)/ New National Theatre, Tokyo (NNTT) (Tokyo, Japan)

Ballet Company: National Ballet of Japan(新国立劇場バレエ団)

演目:
Blossom smile 「はなわらう」
Choreography: Homan Naoya / 振り付け:宝満直也
Dancers: Fukuoka Yudai, Yonezawa Yui, Okuda Kasumi, Soutome Haruka, Asaeda Naoko, Ishiyama Saori, Fulford Karin, Bonkohara Mina
踊り手(階級順→あいうえお順):福岡雄大、米沢唯、奥田花純、五月女遥、朝枝尚子、石山沙央理、フルフォード佳林、盆子原美奈

Moon on the water 「水面の月」
Choreography: Hirose Aoi / 振り付け:広瀬碧
Dancers: Kawaguchi Ai, Hirose Aoi
踊り手(階級順→あいうえお順):川口藍、広瀬碧

Chacona
Choreography: Kaikawa Tetsuo / 振り付け:貝川鐡夫
Dancers: Okumura Kosuke, Horiguchi Jun, Wajima Takuya, Tanaka Shuntaro
踊り手(階級順→あいうえお順):奥村康祐、堀口純、輪島拓也、田中俊太朗

Revelation
Choreography: Hirayama Motoko / 振り付け:平山素子
Dancer: Motojima Miwa/ 踊り手:本島美和

(休憩)

The Lost Two in Desert
Choreography: Takahashi Kazuki / 振り付け:髙橋一輝
Dancers: Takahashi Kazuki, Bonkohara Mina
踊り手(階級順→あいうえお順):髙橋一輝、盆子原美奈

Andante behind closed curtain
Choreography: Майден Тлеубаев Минтаевич/ Maylen Tleubaev /振り付け:マイレン=トレウバエフ
Dancer: Yukawa Mamiko/ 踊り手:湯川麻美子

Phases
Choreography: Fukukda Keigo / 振り付け:福田圭吾
Dancers: Sugano Hideo, Terada Asako, Soutome Haruka, Matuo Takako, Ishiyama Saori, Narita Haruka
踊り手(階級順→あいうえお順):菅野英男、寺田亜沙子、五月女遥、丸尾孝子、石山沙央理、成田遥

Dancer Concerto
Choreography: Oguchi Kuniaki / 振り付け:小口邦明
Dancers: Hosoda Chiaki, Oguchi Kuniaki, Koshiba Fukunobu, Hayashida Shohei, Hara Kenta, Wako Ai, Shibata Tomoyo, Harada Maiko
踊り手(階級順→あいうえお順):細田千晶、小口邦明、小柴富久修、林田翔平、原健太、若生愛、柴田知世、原田舞子

新国立劇場バレエ団は、1月16日から1月18日までに‘DANCE to the Future -Third Steps-'を計3公演、新国立劇場で上演した。平山素子によるRevelationを除き、新国立劇場バレエ団所属のダンサーが振り付けを行った作品である。Third Stepsの名の通り、2012/13シーズンより毎年行われており、今回が三回目となる。

この評は、千秋楽1月18日の公演に対するものである。

着席位置は前方下手側。ほぼ満席である。鑑賞態度は非常に良好であった。

「はなわらう」は、ソリスト二人+群舞の形態だ。米沢唯ちゃんは、今回は可愛い系の踊りで楽しそうだ。

ChaconaはJ.S.バッハのパルティータ第二番シャコンヌBWV1004であるが、ノン-ヴィブラート系っぽい音源である。アリーナ=イブラギモヴァの演奏か否かは不明だ。誰がどう見ても大技と思えるものは、男性ダンサーが堀口純を遠心力で浮かせて速い回転でスピンを掛ける技である。小劇場の狭い舞台なものだから、かなり驚く。

RevelationとAndante behind closed curtainは、椅子を用いたソロのダンスで、舞踊と言うよりはむしろ演劇であろう。写真だけ見せて新国立劇場の演劇公演だと言っても、ダンサーの顔を知らない人であれば誰もが信じる。むしろ舞踊公演と信じる方が難しい。本島美和と湯川麻美子が的確に演じている。

PhasesとDancer Concertoは群舞の要素が強い。Chaconaと同様にクラシック音楽の曲目を用いていて、さすがバレエダンサーだけあって、クラシック好きが多いのだと認識させられる。

全般的に、予想以上に素晴らしい振り付けである。もちろん、キリアンやフォーサイスのレベルまではいかないが、八つの演目の内のいくらかは好みの演目が見つかるだろう。

DANCE to the Futureは前の芸術監督であるデヴィッド=ビントレーが始めた企画であるが、この企画の素晴らしい点は、階級が何であろうと、主演の機会が与えられるところにある。プリンシパルでもアーティストでも関係ない。一輝君が振り付けして美奈ちゃんに「一緒に踊ろう♪」と誘って美奈ちゃんがOKを出せば、成立するのだ。The Lost Two in Desertは髙橋一輝と盆子原美奈、「水面の月」は広瀬碧と川口藍、川口藍がファースト-アーティストであり残りの三人はアーティスト、しかし主演である。その気になれば誰でも主役になれる可能性があるこの企画は、特にファースト-アーティスト・アーティストのダンサーの士気を高め、バレエ団全体の活性化につながるものと考えられる。舞台が近かったせいもあるのか、いつもの群舞よりパッションが込められていたような気がしたのは、私の気のせいか。この企画は国立の劇場の使命として続けていって欲しい。