2014年2月1日土曜日

第346回 オーケストラ-アンサンブル-金沢 定期演奏会 演奏会 評

2014年2月1日 土曜日
石川県立音楽堂 (石川県金沢市)

曲目:
ヤッコ=クーシスト 「ライカ」 op.24
ルートヴィヒ=ファン=ベートーフェン 交響曲第6番「田園」 op.68
(休憩)
ルートヴィヒ=ファン=ベートーフェン 交響曲第8番 op.93

管弦楽:オーケストラ-アンサンブル-金沢(OEK)
指揮:ラルフ=ゴトーニ

OEKは、ラルフ=ゴトーニを指揮者に迎えて、2014年2月1日、第346回定期演奏会を開催した。ラルフ=ゴトーニのOEKへの出演は2012年以来二年ぶりで、1月26日に開催された第345回定期演奏会に引き続いてのものである。

コンサートミストレスは、アビゲイル=ヤングである。

管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴィオラ→ヴァイオリン-チェロのモダン配置で、コントラバスはチェロの後ろにつく。舞台後方下手側にホルン、中央部に木管パートとその後ろにティンパニ、上手側にホルン以外の金管楽器を配置している。第345回定期演奏会の時と変わりない。

着席位置は一階正面中央上手側、観客の入りは八割程であろうか、一階正面14列目中央の席にすら空席がある謎の状態は第345回の時と変わりなく、定期会員の客がサボったものと考えられる。観客の鑑賞態度は良好であった。

第一曲目の「ライカ」は2010年に初演されたばかりの現代曲である。ラルフ=ゴトーニと同じスオミの作曲家であるクーシストの作品だ。演奏自体は、次のベートーフェンを期待させる程の良い出来である。


二曲目、ベートーフェン第6番「田園」は、冒頭のテンポは速くもなく遅くもなく適切な始まり方であるが、弦がよく響かない。石川県立音楽堂の響きを味方にしていない演奏で、音圧が感じられない。一方木管パートは頑張っている印象がある。もちろんベルリン-フィルのような超絶技巧で攻める形ではないけれど、持っている力を出し切っている印象を与えるものだ。金管パートの調子はあまり良くない。特に第四楽章の場面ではやけにあっさりした印象を持つ。第五楽章冒頭でのホルン-ソロは音程が不安定であるが、その場面ではしっかりと決めてほしい。その他、第四楽章ではティンパニが決起を促すものの、他の楽器があまり呼応せず、浮いた存在になってしまっているのはかわいそうである。

弦楽セクションは、何故か第五楽章になるとやけに調子が良くなる。終盤に近いところでのチェロとファゴットとで奏でるフレーズも良く響いている。

部分的には良い点もあるが、やはり「田園」はベートーフェンの九つの交響曲の中で一番難しいのだなあと感じざるを得ない。満足できる演奏は、準=メルクル指揮による水戸室内管弦楽団による演奏のみだ。

三曲目のベートーフェンの第8番は、普通にしっかりとした演奏だ。「田園」でテンションが下がってしまった状態で聴くこととはなったが、この程度の演奏であれば不満はない。

アンコールはマルムスティン作曲(ヨハンソン編曲)「さよならは手紙で」であった。