2013年9月7日土曜日

第91回 紀尾井シンフォニエッタ東京 定期演奏会 演奏会評

2013年9月7日 土曜日
紀尾井ホール (東京)

曲目:
蒔田尚昊 組曲「歳時」(2012年 新日鉄住金文化財団委嘱/世界初演)
クロード=ドビュッシー(アンドレ=カプレ編曲) 子どもの領分
(休憩)
アルベール=ルーセル 小管弦楽のためのコンセールOp.34
フランク=マルタン 7つの管楽器とティンパニ、打楽器、弦楽器のための協奏曲

管弦楽:紀尾井シンフォニエッタ東京
指揮:阪哲朗

紀尾井シンフォニエッタ東京は、阪哲朗を指揮者に迎えて、2013年9月6日・7日に東京-紀尾井ホールで、第91回定期演奏会を開催した。この評は、第二日目の公演に対してのものである。

管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→第二ヴァイオリン→ヴィオラ→ヴァイオリン-チェロのモダン配置で、コントラバスはチェロの後方につく。木管パートは後方中央、ホルンは後方下手側、その他の金管・打楽器群は後方上手側の位置につく。

着席位置は正面後方中央、客の入りはほぼ9割程である。

第一曲目は蒔田尚昊の組曲「歳時」。日本の四季を冬→春→夏→秋の順に構成した曲である。春は「さくらさくら」の変奏の要素があり、夏は「終戦忌-被昇天祭」と題され、「君が代」のモティーフも用いられる。弦管打いずれも響きが綺麗に決まっていると同時に、それぞれの季節に相応しく演奏されている。作曲者も臨席されている。観客の反応のテンションが演奏の内容に応えていないのが非常に残念である。

第二曲目の「子どもの領分」は、個々の演奏で良いと思える部分もあるが、全般的に演奏の方向性が確立されていない演奏で精彩を欠いている。

休憩後の第三曲目のルーセルは、「子どもの領分」で落ちた楽団員のテンションを取り戻す役割を果たす。弦楽のソロの響きも明瞭である。

第四曲目のマルタンは、管楽のソリストを舞台後方に配置しての演奏だ。楽譜を率直に再現するアプローチであるが、響きのバランスは良く考えられており、ソリストも明瞭で朗々とした響きを披露する。特にオーボエとクラリネットは強烈な印象を与える。弦楽もきちんとと響かせていると同時に、精度も高い水準で保たれ、響きが綺麗でかつ力強い。室内管弦楽ならでは精緻な響きを楽しめた演奏会であった。