2013年3月24日 日曜日
松本市音楽文化ホール (長野県松本市)
曲目:
ヨハン=セバスチャン=バッハ プレリュードとフーガ BWV552
アレクサンドル=アルチュニアン トランペット協奏曲(α)
アウグスティン=ララ 「グラナダ」(β)
黒人霊歌 深い河(β)
横山菁児 マリンバとピアノのためのカプリース(竹田の子守唄による)(β)
(休憩)
ヴォルフガング=アマデウス=モーツァルト 「踊れ、喜べ、幸いな魂よ」より アレルヤ(γ)
ガブリエル=ウルバン=フォーレ 「レクイエム」より「ピエ-イエズス」(γ)
作詞:鈴木敏文 作曲:寺嶋陸也 花火-夜ふけに鳴いたせみ-月と子ども(γ)
ジャン=ドンジョン オフェルトワール(δ)
フランツ=ラヒナー エレジー(δ)
ジョアン=アラン 三つの楽章(δ)
ヴォルフガング=アマデウス=モーツァルト 教会ソナタ第10番 K.244(ε)
ヴォルフガング=アマデウス=モーツァルト 教会ソナタ第17番 K.336(ε)
ヴォルフガング=アマデウス=モーツァルト 教会ソナタ第15番 K.329(ε)
オルガン:保田紀子(全て)
トランペット:宮下佳奈(α)
マリンバ:山本令子(β)
ソプラノ:幅谷恵理(γ)
フルート:神田勇哉(δ)
管弦楽:松本交響楽団(ε)
指揮:丸山嘉夫(ε)
私の席:ほぼ真ん中。
2011年6月30日、松本市南部を震源とする最大震度5の地震は、松本市音楽文化ホールのみに甚大な被害を与えた。天井の構造が破壊され、修復のための閉鎖を余儀なくされた。地震から二年近く経過し、修復工事が終了した。修復と同時に座席の交換が行われたが、これまでの横12列の座席は横11列となり、これまでの756名の定員から693名の定員に減少した。
工事終了に際し、復活記念演奏会が3月24日に催される。往復はがきで申し込み、おそらく全員当選となったかと思われる。
演奏会は、全ての曲目に保田紀子のオルガンが演奏され、オルガン-ソロの他、伴奏、管弦楽の役割まで果たす。二曲目以降は、トランペット・マリンバ・ソプラノ・フルートのソリストいずれか一名とオルガンとで演奏され、最後の三曲のみ管弦楽とオルガンとの構成である。
保田紀子は、松本市音楽文化ホールの専属オルガニストであり、ベッケラート社製の、芯がありながらも柔らかい音色を適切に駆使した演奏で、この演奏会を盛り上げた。松本市音楽文化ホールは、実にオルガンが居心地良く響く。
ソリストたちのレベルは様々であったが、フルートの神田勇哉が抜群の完成度である。音がはっきり明瞭に出ており、技術的な成熟度が圧倒的である。管弦楽団の首席奏者は務められるだろう、どこの化け物だと思って経歴を見たら、東京シティフィルハーモニー管弦楽団の首席奏者であった。
管弦楽の松本交響楽団はアマチュアである。教会ソナタ10番は安全運転であったが、最後の15番ではパッションを込めた演奏を実現していた。
最も気になる改修後の、松本市音楽文化ホールの音響であるが、完璧に修復されたと断言する。オルガン、オルガン奏者席からのソリストの音、舞台上の管弦楽の音、その残響は地震前と同様に響いている。松本市音楽文化ホールは、完全復活を遂げたと宣言する。