2021年3月13日土曜日

新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」(2021年2月公演)ワルイ子諜報団 座談会

 2021年2月20日から23日まで、新国立劇場にて上演された、新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」についての座談会。

この公演については、あきらにゃん が長野県外に出られない事態になったことを踏まえ、「ワルイ子諜報団」工作員「ワルイ子東京城西」に対し、無償にてチケットが譲渡され、対価としてレポートが あきらにゃん に対して送付されることとなった。

今回、レポート提出の際に座談会を当方から申し入れたところ、ワルイ子東京城西 の快諾があり、座談会が実現できた。その内容をここに記したい。


以下)あ:あきらにゃん(司会)、 東:ワルイ子諜報団「ワルイ子東京城西」


1.レポートについて

あ:男性ダンサーについてのコメントがないが、どういうことなんだい?

東:オトコは知らね。ただそれだけ。

あ:それでも、なにがしかコメントの一つくらいあるやろ?

東:うん。速水渉悟くんは一枠でいいから早急に主役につけて、主役慣れさせるべきだね。あと、プロローグでの7人のカヴァリエは素晴らしい。揃い方が自然な感じなのもいい。


あ:今回、優里りんについてだいぶ厳しいが?

東:私もこれまで初台で何回も観劇してきたけれど、もう彼女に いい子ちゃん役 をやらせるべきではないと思う。向かないのに主役を含む大きな役を割り当てられて、逆に可哀そう。

あ:かつて、優里りんシンデレラ拝見したことがあったけど、正直シンデレラ役、優里りんは似合わないのだよね。その違和感がさらに表面化しているような感じなのかな?


2.いい子ちゃん役 についての議論

あ:バレエに於ける いい子ちゃん 役に求められる要素を最近考えます。

東:米沢唯ちゃんは「正しいポジション、美しいつま先、手先、そこにオーロラ姫のキャラクターが生まれてくる」(テアトレ誌2021年3月号通巻292号7頁、新国立劇場運営財団発行)と言っている。ポジションとポジションとの間は自由にとも発言しているけど、やはり いい子ちゃん の基礎には様式が伴うのだと思う。

あ:正しい様式による美しさがあっての いい子ちゃん だと。

東:そう。おそらく各コンクール受賞時点では未確立で、バレエ団に入り、実演と優秀なバレエミストレス/マスターの長年に渡る指導、各ダンサーの研ぎ澄まされた感覚により、年単位で確立していくものだと思う。

あ:「心を込めた演技」だとか「入魂の演技」だと勝手に観客が思う踊りは、実のところダンサーはこんなことを考えてはいないかと。「心を込め」れば上手くいくのであれば、誰も苦労しない。

東:瞬間瞬間で、体のそれぞれのパーツがどの位置になければいけないかと言った精密な作業の積み重ねなのだろうね。「心を込める」のではなく、感覚を研ぎ澄ませて精緻にコントロールしていく感じなのだろうなと、私は思っている。特に、今回のアウロラの第二幕の幻想のソロや、「ドン キホーテ」でのドルシネア姫で、その辺りが問われるような気がする。

あ:リラ役も、様式美が問われそうですね。

東:多くの観客が、リラとカラボスとの対決を「スケバンのタイマン」と勘違いしていることは嘆かわしい。ツイッターで「バレエに詳しい風」を吹かせている「大御所」「重鎮」含めて、その勘違いが蔓延している。リラ役は、優美さや慈愛、気品が基盤となる。毅然とカラボスと対峙する場面でも、これら三つの基盤を観客に伝達されなければならない。善とはそういう存在。

あ:その優美さや慈愛や気品を表現するのには、やはり様式美を正確に実現しないといけないのだよね。

東:その辺り、唯ちゃん絢子さん千晶さんは高いレベルで実現できているし、典型的お嬢様の紗帆りんがリラ役に充てられても同様だと思う。理沙子ちゃんはお転婆娘だから、リラ役が似合うかどうか疑わしいが、踊りの方向性は真っ当なので、アウロラは大丈夫と推察する。

あ:その辺り優里りんが・・・バレエ的にグレちゃっていると。

東:そういうこと。唯絢子千晶紗帆理沙子さんたちが地道に努力してやっていることを、やっていないのではないか?多分、努力の方向性を間違えていると思う。顔芸を凝らせて糊塗しようとしていたり。


3.唯ちゃん絢子さん以外のアウロラは誰が良かったのか?

あ:今回、優里りんはダメだったらしいけど、誰だったら良かった?

東:まず、4公演しかないのであれば、唯ちゃん絢子さんにそれぞれ2枠を与えるべきだったと考える。残念ながら、私は過去公演の理沙子ちゃんアウロラを観ていないので、優里りんを理沙子ちゃんに替えるのが妥当かは判断できない。

あ:それでもサードキャストを組むとしたら?

東:若手の三人でキャストを組むとするなら、アウロラ理沙子、リラ紗帆、カラボス優里で決定だな。

あ:私も同感です。

東:ていうか、リラは千晶さん紗帆りんのダブルキャスト、カラボスは美和りん優里りんのダブルキャストにするべきだったと思っている。

あ:今回のキャスティングとは方向性が違うが?

東:三つの問題がそれぞれ絡み合っていると私は思っている。第一に、近いうちに引退する世代と、現在育成するべき世代の問題。第二に、優里りんのキャリアパスの方向性の問題。第三に、新国立劇場バレエ研修所や牧麻佐美研修所長のメンツの問題。


4.若手育成の問題

あ:今の、第一と第二の問題は、若手育成の問題と整理することが可能であると思うが。

東:そうだね。近いうちに、研修所1期生と2期生は引退の時期を迎える。美和りんの引退が迫っているし、美和りん引退の二年後には2期生が引退となる。美和りん千晶さん亜沙子さんの穴をどう埋めるか?

あ:亜沙子さんを ワルイ子ちゃん にしようとバレエ団は考えているようであるし、亜沙子さんなら一定の成果は期待できると思うが?

東:確かに亜沙子さんならできるけど、でも、美和りんの穴を二年しか埋められないから、応急手当に過ぎないのだよね。

あ:そこで、バレエ的にグレちゃった優里りんを ワルイ子ちゃん に転向させようと!

東:成功するか否かは不明だけど、有望だと思う。上手くいったら、今後10年以上に渡って ワルイ子ちゃん は安泰となる。

あ:千晶さんのポジションは紗帆りんがしっかり引き継げると思うが。

東:これは確か。しかし、先ほど私が「アウロラ理沙子+リラ紗帆+カラボス優里」のキャスティングを言ってみたけど、その次の世代のキャスティングが全く考えられない状態となった。

あ:これが新国立劇場バレエ団の時限爆弾になっているんだよね。主役サードキャストから準主役級がかなりヤバい状態。現在は、千晶亜沙子紗帆理沙子の「いい子ちゃん四人組」で盤石な状態だけど、千晶さん亜沙子さんが引退したら一気に瓦解する。

東:理沙子ちゃんを2016年9月に入団させて以来、その次の世代のダンサーを全く考えず、いつの間にか五年経過しようとしている状態だからね。

あ:誰を紗帆理沙子の後について来させるかは吟味しないといけないのだよね。現在のファーストアーティストの方をソリストに昇格しても、年齢的な面で応急手当にしかならない。コロナ禍を逆用して、国外バレエ団から移籍を充てにしても、30歳前後だとやはり応急手当にしかならない。現在20歳代前半が、本来あるべき次世代のダンサーなのだけど、ファーストアーティスト階級には誰もいないし、研修所でも養成できていない。なので、前二者の応急手当で、千晶さん亜沙子さんの穴を埋めるのだろうなあ。


5.新国立劇場バレエ研修所の問題

あ:新国立劇場はバレエ研修所を持っているので、有利だと思うが。

東:劇場がバレエ研修所を持っているのは必要なことだと思うし、一見有利に見えるのだけれど、現在のバレエ研修所は機能不全に陥っていると思う。6期生修了とともに存在意義を廃したと言ってよい。

あ:小野絢子さんを輩出した後、ファーストアーティストまで昇格しているのが6期生辺りまで。それ以降は、優里りん以外全員アーティスト階級だし。

東:まともなソリスト育成機能を完全に喪失しちゃったのだよね。期待の星だった優里りんがバレエ的にグレちゃったから、絢子さんを最後にソリスト育成は終了したようなもの。研修所のセンセ大丈夫なのか?ちゃんとしたセンセ雇っているのか?

あ:紗帆理沙子と、(一見「デュオ」出身のように見えるけど、実際は)国外バレエ学校で堅実なソリストを育ててもらっているようなもの。

東:優里りん、どうしてアウロラとかリラとか、彼女に向かない いい子ちゃん にキャスティングしているのだろう?

あ:ここから先は、陰謀論であることを願って話してみるけど、木村優里をプリンシパルにしないと、バレエ研修所の存在意義をアピールできないからじゃないの~?牧阿佐美研修所長が上層部を使って みやこちゃん に圧力を加えていたりして。そんな疑惑を持っちゃうよ。冗談だと信じたいけど。

東:もし本当に、バレエ研修所のメンツのために、牧阿佐美研修所長のメンツのために、木村優里を主役(≒いい子ちゃん)に充てているのだとしたら、優里りんにとっても不幸だし、本来割り当てられるべきダンサーにとっても不幸だし、観客にとっても不幸だよね。

あ:そう、真っ当に努力している他ダンサーも犠牲になるし、公演内容にも影響してしまうのだよね。

東:大体さあ、バレエ団とバレエ研修所、同じ方向向いているの?研修所入試の際に、みやこちゃん 参画しているの?

あ:先日の21/22シーズン説明会の際に記者からの質問に対する回答で、バレエ研修所は みやこちゃん の管轄外だと話したみたいだね。バレエ団のダンサー養成計画に基づいて、研修所のカリキュラムや入所学生の選抜を行うべきなのに、完全にバラバラ。数年に一度のマトモなソリスト養成すらできないようでは、バレエ研修所の解体論がそのうち出てくるのではないのかな?


6.カーテンコールについて

あ:深刻な話題になってしまったけど、「眠り」の公演に戻ろう。カーテンコールはどうだった?

東:千秋楽は知らんけど、千秋楽以外では、やはり唯ちゃんの時が一番盛り上がっていた。てか、当然のことながら、本番の時から興奮度が高い状態だった。

あ:原因は何だったのやろ?

東:唯ちゃんの演技自体の強さと見事さ。それに、一公演しか割り当てられていないことへの同情もプラスされていたのではないかと思う。唯ちゃんファンはお互い仲悪くてバラバラだけど、血気盛んな人たち多そうだしね(笑)。あと、唯ちゃん唯一の公演が第三公演だったのも、良かったのかも知れない。初日第一公演は、観客が模様眺めで冷淡な反応になりがちだから。あと、脇が公演を重ねるごとに盛り上がっているし。

あ:その意味では、ファーストキャストだったけど初日だけのアウロラだった、2018年6月公演より好条件だったのでしょうね。それだけが唯一の救いだったのかな。

あ:唯ちゃんは、後ろ盾が誰もいないしね。研修所出身でもなければ、牧系の教室出身者でもないし、首都圏出身でもないから、チケット購入する(出身バレエ教室等の)組織票もない。本人の実力だけで今の地位に就いてその座を守っているのだからね。そんなバレエ外の要素で応援している訳ではないけれど、一応このことは頭の中では常に意識している。


あ:では、そろそろ座談会終了しましょうか。お時間作って下さり、ありがとうございました。

東:同志との語らいほど楽しいものはありません。これからも、誰も言わないことを言い続けていきましょう!


参考:新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」2021年2月 観劇記録↓

http://ookiakira.blogspot.com/2021/03/20212.html