2017年7月21日金曜日

Orchestra Ensemble Kanazawa, the 392nd Subscription Concert, review 第392回 オーケストラ-アンサンブル-金沢 定期演奏会 評

2017年7月21日 金曜日
Friday 21st July 2017
松本市音楽文化ホール (長野県松本市)
The Harmony Hall (Matsumoto Municipal Concert Hall) (Matsumoto, Japan)

曲目:
Organ Inprovisation by Thierry Escaich
Franz Peter Schubert: Sinfonia n.7 D759 ‘Incompiuta’
Charles Camille Saint-Saëns: Concerto per violoncello e orchestra n.1 op.33
(休憩)
Thierry Escaich: Concerto per organo e orchestra n.3 'Quatre Visages du Temps' (「時の四つの顔」)

violoncello: Ľudovít Kanta
organo: Thierry Escaich

orchestra: Orchestra Ensemble Kanazawa (OEK)(オーケストラ-アンサンブル-金沢)
direttore: 井上道義 / Inoue Michiyoshi

オーケストラ-アンサンブル-金沢は、オルガンにティエリー=エスケシュを迎え、指揮は音楽監督の井上道義、チェロは首席奏者ルドヴィート=カンタが担当し、2017年7月18日から23日までに、石川県立音楽堂(金沢市)・那須野が原ハーモニーホール(栃木県大田原市)・松本市音楽文化ホール・ミューザ川崎シンフォニーホールで、第392回定期演奏会を開催する。

この評は、2017年7月21日、第三回目松本市音楽文化ホールでの公演に対するものである。

管弦楽配置は、舞台下手側から、第一ヴァイオリン→ヴィオラ→ヴァイオリン-チェロ→第二ヴァイオリンの左右対抗配置で、コントラバスはチェロの後方につく。木管パートは後方中央、ホルンは後方下手側、他の金管は後方上手、ティンパニは後方上手、他のパーカッションは両側端の位置につく。

着席位置は一階正面後方わずかに上手側、客の入りは四割程であろうか、空席が目立った。観客の鑑賞態度は、極めて素晴らしい。

演奏について述べる。

シューベルトの「未完成」は、低弦を中央後方に置き、通常弦楽の上手側となる位置に管楽を置く変態的な配置であったが、意味があったのかは疑問である。響きは豊かだが、構成は眠くなる感じである。

サン-サーンスのチェロ協奏曲は素晴らしい。チェロと管弦楽との一体感が、曲の進行とともに増してくる。696席の松本市音楽文化ホールならではのチェロの響きで、チェロのソロがこれだけ鳴るホールも少ない。カンタのチェロが情感を深くした第二楽章と思える箇所の、チェロと管弦楽との掛け合いは、同じ方向性を向いた、家族のような一体感を感じさせるものである。

エスケシュのオルガン協奏曲は、オルガンと管弦楽とがブレンドされ、誰が鳴らしているのか分からないほどの見事な演奏である。第二楽章の弦楽とオルガンとの一体感を感じさせる響きに惹きつけられる。一方で、両翼に配置した打楽は的確なアクセントを与える。楽器の構成がワールドワイドで楽しい。

サン-サーンスのチェロ協奏曲と、エスケシュの世界初演されたばかり(松本が第三公演!)のオルガン協奏曲を味わう事ができた、充実した演奏会であった。

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